コンゴ東部紛争において、ブルンジはコンゴ政府側に立ってM23などの反政府武装勢力と戦った。今年1月以降、M23がゴマ、ブカヴなど東部の主要都市を制圧し、支配的な立場を維持している。M23とAFC(コンゴ川同盟)そしてそれを支持するルワンダが東部コンゴで勢力圏を確立し、コンゴ政府とブルンジを含む同盟勢力は戦闘に敗れた状態にある。
3月以降、和平をめぐる動きがあった。3月18日に、コンゴのチセケディ大統領とルワンダのカガメ大統領がカタールで直接対話し、4月25日には米国のワシントンで両国外相が会談した。5月5日には、米国のブロス大湖地域特使が、両国から和平協定原案を受け取ったと発表した。ルワンダの外相は、6月にカガメ、チセケディの間で和平協定が署名されるとの見通しを示している(5月6日付ルモンド)。
和平プロセスが進展したように見えるが、M23とルワンダ側が、東部コンゴに勢力圏を確立した状況は変わっていない。
こうしたなかで、5月19日付ルモンド紙は、この紛争がブルンジに与えた影響について報じている。この記事によれば、コンゴ紛争が、ブルンジの政治体制をいっそう独裁的、抑圧的に変えているという。
ブルンジはもともと、2021年初めにコンゴに派兵した。この時は、コンゴ東部で活動するブルンジの反政府武装勢力Red-Tabaraの掃討作戦実施を理由としていた。二国間軍事協定が結ばれたが、2023年8月になって両国は、この協定をM23との戦闘に対応するよう拡大した。しかし、この情報は一般に公開されなかった。
昨年来の戦闘で、コンゴ東部では多数のブルンジ兵が戦死している。コンゴに送られたブルンジ兵の大部分は新兵で、3ヶ月程度の訓練後に装備も不十分なまま前線に送られた。ゴマがM23の手に落ちる前、2024年12月のングング(Ngungu)の戦いでは、数百人のブルンジ兵が戦死したという。
ブルンジ政府は、こうした状況について一切公表していない。同国内では埋葬が続いているが、家族にも知らされず、こっそりと行われているという。
コンゴ紛争の激化は、ブルンジの人権状況に影響を与えている。ブルンジ市民社会の報告書は、コンゴ紛争が反体制派や市民社会の監視、抑圧、逮捕の口実として使われている、と述べている。多くのブルンジ兵が戦死したとWhatsAppに投稿した者や、M23に好意的な書き込みをした者が国内で逮捕されているという。
ここ数年、ブルンジとルワンダの関係は非常に悪化しており、国境も封鎖されたままである。両国は互いに、相手国が反政府武装勢力を支援しているとの非難を繰り返し、ブルンジによるコンゴ紛争への介入の背景になっている。
カタールや米国でコンゴとルワンダの首脳や外相が会談し、和平が進展したかのような印象を与えているが、このまますんなり和平プロセスが進展するとは到底思えない。(武内進一)
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