5月2日、3日、マリの首都バマコで大規模な反政府デモが起こった。数百人のデモ隊は、軍事政権を非難し、憲政への復帰を要求した。2000年8月18日のクーデタ以降、今回のように公然と反軍事政権のスローガンが叫ばれたのは初めてである。数百人のマリ人が拳を突き上げ、国旗を掲げて軍事政権に挑戦した(8日付ルモンド)。
反政府デモのきっかけは、軍事政権が政権に居座る姿勢を明確にしたことである。4月29日、開催されていた国民協議(concertation nationale)が結果を発表し、アシミ・ゴイタ(現軍事政権トップ)が選挙を経ずに2025年から5年間の任期で共和国大統領となること、また全ての政党を解散することを勧告した。マリの政党は、ほぼこの協議をボイコットしていた。
大規模な反政府デモは、これを受けて起こった。軍事政権側は方針を変えず、5月7日、軍事政権が政党及び政治的団体の活動を無期限停止する政令を発表した。
これまでマリでは、軍事政権の下で制約はありつつも、政党活動の余地が残されていた。今回、それを完全に禁止し、軍部主導の政治体制を確立しようとしたところで、民衆の反発を招いたのである。
背景には、軍事政権の成果に対する国民の不満がある。物価高騰、失業、電力不足といった経済問題を軍は解決できず、ジハディストの活動も抑制できていない。2023年11月にキダルを制圧するなどの勝利はあったものの、マリではアルカーイダ系のGSIM、イスラム国系のISIS-GSが活動領域を広げ、特にGSIMは2024年9月に首都バマコの軍施設を攻撃し、多数のマリ国軍兵士を殺害した。
今回のデモがどの程度軍事政権を揺さぶるかはまだわからないが、国民に不満が蓄積されていることは間違いない。(武内進一)
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