14日、ワシントンでIMFのアフリカ担当部長アベベ・セラシエ(Abebe Aemro Selassie)氏が会見し、サハラ以南アフリカ諸国のマクロ経済見通しを説明した。この場で、セラシエ氏は、アフリカ諸国が深刻な資金不足に直面しているとして、資金提供を大幅に増額するよう呼びかけた。
アフリカ諸国の資金不足には、幾つかの要因が影響している。2022年度におけるOECD諸国の政府開発援助は総額でては増加したものの、サブサハラ・アフリカ向けに限れば7.8%減少して297億ドルとなり、2017年と同じ水準であった(12日付ルモンド)。加えて、中国による貸付が、2019年の91億ドルから2021年の28億ドルへと急減している(17日付ルモンド)。
こうした背景もあって、アフリカ諸国の資金調達コストは大幅に増加した。アフリカ諸国向け資金貸付には、先進国に比べて10%程度金利が上乗せされている(17日付ファイナンシャルタイムズ)。2022年6月、ケニアは10億ドルのユーロ債を発行しようとしたが、コストが高すぎて断念した(17日付ルモンド)。
資金の逼迫は、様々な悪影響をもたらす。ガーナ、エチオピア、ジンバブウェ、南スーダンといった国々では、輸入に困難を来すほどドル不足が深刻化した。保健医療、教育、インフラといった投資が阻害されることで、中長期的には社会全体に悪影響が及ぶだろう。セラシエ氏はこのように警告し、国際金融機関を通じたアフリカ向け資金供給の拡大を強く訴えた。
こうした資金逼迫状況のなか、デフォルトを経験したザンビアやガーナでは、債権者との交渉が難航している。かつての債務危機では公的債務が大部分を占めたが、今日アフリカ諸国が抱える債務の大半は民間資金である。資金の出所が多様化した分、交渉も複雑になっている。
(武内進一)