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今日のアフリカ

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ガーナにデフォルトの危機

2022/12/02/Fri

 西アフリカで安定した経済成長と民主主義を達成してきたガーナだが、ここのところ経済の苦境を伝えるニュースが目立つ。通貨セディは今年に入ってドルに対し5割以上値を下げており、高インフレが続いて商人が抗議で店を閉める事態となった(10月20日付けルモンド)。大手格付け会社Moody'sは、今年2月にガーナ国債をB3からCaa1(投機的で安全性が低いと見なされる)への格下げしている(12月1日付ファイナンシャルタイムズ)。
 ガーナは2007年に7.5億ドルのユーロ債を発行して以来、2021年までに計13回ユーロ債を発行してきたが、債務残高はGDPの8割に達し、返済が厳しい状況に陥っている(11月16日付けFT)。
 この国では2000年代に債務救済や石油発見もあって好景気が続き、中等教育無償化や国民健康保険制度の拡充など野心的な社会部門サービスが導入された。一方で、公的セクターの賃金を大幅に上げるなど、財政規律の緩みが指摘されるようになった。債務が膨らんでいたところに、コロナとウクライナ戦争、そして米国の金利上昇という外的ショックがやってきた。
 ガーナの経済危機は、開発政策の失敗という側面もあるにせよ、外的なショックによって引き起こされた側面が大きい。昨今の世界情勢(気候変動も含めて)が、新興国に大きな衝撃を与えていることを改めて認識すべきである。
(武内進一)