• アクセス
  • English
  • 東京外国語大学

今日のアフリカ

今日のアフリカ

ザンビアの債務モラトリアム要請

2020/10/03/Sat

ザンビアの債務利払いモラトリアム要請に対し、債権者側が反発している。9月22日、ザンビア政府はドル建て債券(ユーロ債)の利子支払いを半年間猶予するよう債権者側に要請した。これは、事実上、コロナ感染拡大後のアフリカで初めての民間債務支払い拒否宣言であった。
 ザンビアは、2012年に初めてユーロ債を発行し、2014、15年にも発行した。合計額は110億ドルに上り、中国による所有も多いと言われる。政府は今回、このうち30億ドル分についてモラトリアムを要請した。しかし、ザンビア発行ユーロ債の4割を所有するヘッジファンドグループは、政府の対応が不透明であり、中国向け債務と同じ扱いを求めるとして、モラトリアムの受け入れを拒否した(10月1日付ファイナンシャルタイムズ)。
 ザンビアの対外借り入れに関しては、与党「愛国戦線」(PF)による選挙対策として農業支援プロジェクトに向けられたとの分析がある(9月24日付Africa Confidential)。「農民投入財支援プログラム」(Farmer Input Support Programme: FISP)がそれで、中小農家向け肥料・種子補助金に充てられる。政府は最近になって、来年度予算にFISPを大幅に増額させると発表した。従来5000万ドル程度だった予算を5億ドルと10倍に増額するという。その目的は、来年8月に予定される選挙対策だと言われている。FISPは財政負担が大きい一方、農民には好評である。加えて、与党系の企業が入札に絡んで優遇されたとの疑惑も指摘されている。
 ザンビアの債務危機は、昨年来しばしば報じられてきた。政府は正式なデフォルト宣言を出しておらず、政策介入を恐れてIMFに対する融資要請も行っていないが、このままでは事態は打開できず、来年の選挙への影響は必至であろう。