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今日のアフリカ

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チュニジアで反体制派要人の一斉検挙

2023/02/15/Wed

 11日~13日にかけて、チュニジアで反体制派側要人が一斉に検挙された。これに対して、14日、ヴォルカー・ターク国連人権高等弁務官は、チュニジアの「抑圧状況の悪化に懸念」を表明した。国連がチュニジアの政治にこうした意思表明をするのは初めてのことである。
 この間、旧政権党ナフダの幹部で元法相のヌレディーン・ビリ(Noureddine Bhiri)や民間ラジオ局「モザイクFM」のヌレディーン・ブタール(Noureddine Boutar)など多くの反体制派要人が、いずれも「国家の安全保障を脅かした罪」で逮捕された。
 チュニジアでは、2021年7月にサイード大統領が議会を活動停止にし、「例外状態」を宣言した。議会で続く政党対立に嫌気していた大衆は当初これを歓迎したが、結局は状況が変わらないことに反発し、大統領の肝いりで進められた憲法改正やそれに続く選挙にボイコットで応じた。サイードの人気はすでに低落しているが、彼に代わって大衆の支持を集める政治家は出ていない。人々は政治から距離を置こうとしているようだ。
 一斉検挙は、こうした状況下で起こった。ルモンド紙は、国連人権高等弁務官の対応から、国際社会(特に欧米)のチュニジアへの対応が今後変わるかもしれないと述べ、ヨーロッパ外交官の次のような言葉を紹介している(14日付)。「サイードはずいぶん遠くに行ってしまった。何かが壊れたようだ。2021年7月の時には、我々は政治的リアリズムを持ってサイード政権とうまく付き合っていきたかった。しかし、どうやってこんな政権と一緒に仕事ができるだろう」。
(武内進一)