今年1月にクーデタがあったブルキナファソで、9月30日に再びクーデタが発生した。30日未明から首都ワガドゥグ郊外の軍キャンプで激しい銃声が聞かれたが、午後早く政府はFacebookに「国軍の一部部隊の動きにより混乱が生じている」、「事態沈静化のために交渉中」と投稿。軍スポークスマンは報道機関(AFP)に、「これは国軍内の危機であり、事態打開に向けたやりとりが続いている」と説明した。
22時少し前に、軍服姿の10数名がテレビ放送し、トラオレ(Ibrahim Traoré)大尉が声明を読み上げた。そこで、国軍トップのダミバ(Paul-Henri Sandaogo Damiba)中将の罷免、政府の解散、憲法の停止、国境封鎖が発表され、21時~5時の外出禁止令が発布された。トラオレ大尉は、反乱軍が組織した「保護復興愛国運動」(Mouvement patriotique pour la sauvegarde et la restauration:MPSR)の代表で、反乱軍のトップという位置づけである(30日付ルモンド)。
今回のクーデタの引き金となったのは、9月26日に北部マリ国境近くで起こった襲撃事件である。イスラム急進主義勢力に包囲された町(Djibo)に食料などを届けるために組織され、軍のエスコートを受けたトラックの車列が襲撃され、少なくとも兵士11人が死亡し、民間人50人以上が行方不明となった(28日付ルモンド)。ブルキナファソは全13州のうち10州でアルカイダ系、IS系の勢力が活動すると言われる。こうした勢力に包囲された町では物資流通が滞り、住民は飢えに瀕している。
今回のクーデタは、治安回復に無力な政権に軍内部で不満が高まって起きた。首謀者の肩書きが「大尉」であることから、若手が決起したものであろう。政権を倒すことはできても、イスラム急進主義勢力を駆逐することは簡単ではない。中央が混乱すれば、その活動はさらに勢いを増す危険がある。
(武内進一)