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今日のアフリカ

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コンゴ東部で反国連暴動広がる

2022/07/30/Sat

 7月25日以降、コンゴ民主共和国東部で国連平和維持部隊Monuscoを標的とした暴動が広がり、多数の死者が出る事態となった。暴動の発端はMonuscoの撤退を求めるデモで、市民団体のLuchaや政権与党UDPS青年部が呼びかけた。それが暴動へと変わり、ゴマ、ベニ、ブテンボ、サケ、ウヴィラといった東部の主要都市に広がった。国連部隊兵士3人を含む15人が死亡したと報じられている(29日付ルモンド)。
 国連の撤退を求めるデモは、M23による反乱が継続するなかで起こり、M23を制圧できないMonuscoは出て行け、と主張された。このデモに先立って、7月15日にはバハチ(Modeste Bahati)上院議長がMonuscoの撤退を要求していた。
 Monuscoに問題がないわけではないが、それに対する批判には筋違いのところがある。そもそもMonuscoのミッションは、コンゴの治安部隊を支援して文民保護を行うことである。コンゴ東部は昨年5月以降戒厳令下にあり、州知事なども軍人が務めているが、治安の改善に成功しておらず、コンゴ軍自体が住民への人権侵害の疑いを指摘されている。また、Monuscoの撤退計画は既に進んでおり、東部の活動を縮小しつつある。
 加えて、Monusco撤退が問題解決につながるわけではない。現在、東アフリカ共同体(EAC)で平和維持部隊をコンゴ東部に派遣する議論がされているが、それがMonuscoに代わることで事態が改善する見通しは薄い。先の上院議長の要求などは、Monuscoをスケープゴートにしている感がある。
 M23の活動に対しては、ルワンダやウガンダの支援が指摘されている。特にルワンダについては、厳しい対応を求める声が出つつある。先週、米国上院外交委員会のメネンデス委員長は、米国の対ルワンダ援助を再考すべきだと述べた(29日付ルモンド)。
 まずはM23の活動を抑え込む必要があり、ルワンダへの国際社会の圧力が強まることになろう。