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今日のアフリカ

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カガメのウガンダ訪問

2022/04/26/Tue

 ルワンダのNew Times紙(政府系)は、24日、カガメ大統領がウガンダを訪問したと大きく報じた。ムセヴェニ大統領の息子カイネルガバ(Muhoozi Kainerugaba)の誕生日の機会に私的訪問したもので、4年ぶりとなる。カイネルガバとともに治安相と会談したほか、ムセヴェニとも会って晩餐会に出席した。
 ムセヴェニとカガメとの間には、長年にわたる複雑な関係がある。幼くしてウガンダに逃れ、そこで成長したカガメは、ルワンダ人難民部隊を組織してムセヴェニに協力し、1986年の政権奪取に貢献した。1990年代のRPFのルワンダ侵攻と政権奪取は、ムセヴェニの支援なくして不可能だった。一方、1990年代末以降のコンゴ(DRC)内戦では、鉱物資源の利益をめぐって対立し、両国の軍がコンゴ領内で衝突した。その後も両国間関係は緊張と融和を繰り返してきたが、ここ数年は関係悪化が顕著で、国境閉鎖が続いていた。
 この状況に変化をもたらしたのが、カイネルガバであった。カガメを「オジ」と呼んで親密さを強調する彼は、1月22日にルワンダを訪問し、月末には国境が再開された。3月には、カガメがカイネルガバにウシを贈ったことが大々的に報道された(3月17日付New Times)。この地域で、相手にウシを贈ることは特別な親密さを示す象徴的な意味がある。
 コンゴでまたもM23の活動が活発化し、その背景にルワンダの支援が指摘されている。このルワンダの動きは、チセケディ(DRC大統領)がADF掃討作戦のためにウガンダ軍にコンゴ領内での活動を許したことへの反発との見方もある(4月1日付ルモンド)。こうした状況下で、カガメ、ムセヴェニ、カイネルガバらの動きは注視すべきものである。政治指導者の個人的な関係が国家間関係のすべてを決定するわけではないが、こうした個人間の関係抜きにこの地域の国家間関係を論じることはできない。