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今日のアフリカ

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ブルキナファソ政権の弱体化

2022/01/24/Mon

 23日、首都ワガドゥグにある複数の軍基地で銃声が確認された。首都の軍キャンプのほか、カヤ(Kaya)やウアヒグヤ(Ouahigouya)など地方の軍キャンプでも発砲音があったと報告されている。ワガドゥグ市中心部のPlace de la Nationにも、100人ほどの群衆が兵士の動きを支持するために集まった。首都にある政権与党「進歩のための人民運動」(Mouvement du Peuple pour le Progrès:MPP)の事務所が放火され、略奪された(23日付ルモンド)。
 特に首都のサングレ・ラミザナ(Sangoulé-Lamizana)軍キャンプでは、兵士がキャンプから出て、空に向け銃を放ち、一帯を封鎖した。このキャンプには刑務所があり、ディエンデレ(Gilbert Diendéré)将軍が収監されている。同将軍は2015年にクーデタを企てた罪で懲役20年の刑に服しており、現在はサンカラ暗殺裁判でも裁かれている。彼は、2014年に放逐されコートジボワールにいるコンパオレ前大統領に近い。
 これに対して政権側はクーデタの噂を打ち消すとともに、20時~5時半までの夜間外出禁止令を発布した。今回の動きは明らかにカボレ(Roch Marc Christian Kaboré)政権の弱体化を示すものだが、しばらく前から予兆はあった。
 ブルキナファソでは、マリからの影響を受ける形で数年前からジハディストの活動が広がり、治安悪化が顕著になっている。昨年11月14日には、北部イナタ(Inata)の憲兵隊基地が襲撃され、約20名が犠牲となった。この事件をきっかけとして、治安悪化を止められない政府、フランス軍への失望と怒りが広がり、11月末には国内を通行中のフランス軍関係車両が住民に包囲される事件も起こっている
 年明けの1月11日には、クーデタを企てた疑いで8名の軍人が逮捕され、その中には西部地域司令官のズングラナ(Emmanuel Zoungrana)中佐も含まれていた。22日には、首都で、治安悪化への不満を訴えるデモと、ECOWASから制裁を受けたマリへの連帯を示すデモが予定されていたが、市当局がいずれも許可せず、緊張の高まりが伝えられていた。
 ジハディストの活動を抑止できないという事実があり、これは治安部門のマネジメントが悪いからだ、そしてフランス軍がまともに対応しないからだ、という不満となって膨張し、政府やフランスに向かっている。カボレ政権は、2014年に長期にわたって権威主義的支配を続けたコンパオレが市民革命で倒れた後に成立し、ここまで民主的な政権運営を続けてきたが、かなり危険な状態にある。