• アクセス
  • English
  • 東京外国語大学

今日のアフリカ

今日のアフリカ

ブルキナファソ北部で続くジハディストの攻撃

2021/11/21/Sun

 ブルキナファソで、ジハード主義者の攻撃が深刻さを増すなか、政府、さらにはフランスへの批判が高まっている。同国では2016年頃から、マリと国境を接する北部地域において、ジハード主義者の活動が活発化するようになった。それ以来、同国で犠牲者数は合計2000人を超え、150万人が避難を余儀なくされ、4000の学校が閉鎖された(19日付ルモンド)。
 そうしたなか、14日に北部イナタ(Inata)の憲兵隊拠点が攻撃され、53人が死亡する惨事が起こった。憲兵隊員49人、民間人4名という内訳である。治安組織に対する被害として、過去に例をみない規模である。
 これに対して、16日、テロを一向に抑止できない政府に対する不満から、主要都市でデモが発生した。怒りの矛先は、サヘル地域のテロ対策として「バルカンヌ作戦」を展開しているフランス軍にも向けられ、17日夜には、首都ワガドゥグと第2の都市ボボデュラソで、フランス軍部隊の車列がデモ隊に取り囲まれる事態に至った。
 ブルキナファソでは、今年6月5日にも北部のソルハン(Solhan)で150人以上がジハード主義者の攻撃の犠牲になるという事件が起こり、政府の無策を批判するデモが各都市で発生した(6月28日付ルモンド)。政府はこれを受けて、国防相と治安相を更迭したが(7月1日付ルモンド)、北部地域の治安は依然として脆弱である。フランス軍の展開にもかかわらず、特にマリ、ブルキナファソ、ニジェールの3か国の国境地域でジハード主義者の活動が目立っている。
 今回の事件でも示されたように、ジハード主義者を取り締まるはずの現地治安組織の能力が向上しないことは、深刻な問題の一つである。現地治安組織の能力構築はフランスやEUの最重要課題と認識され、重点的に取り組まれているはずだが、十分な効果を見せていない。憲兵隊拠点に十分な物資が供給されていなかったとの報道もあり(19日付ルモンド)、人々の怒りを増幅させている。なぜ能力構築が進まないのか、解明が待たれるところである。