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今日のアフリカ

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マリ軍、大統領、首相を逮捕、解任

2021/05/26/Wed

 5月24日(月)、移行政権のンダウ(Bah N'Daw)大統領とウアン(Moctar Ouane)首相が軍基地に連行され、その後二人の逮捕、解任が軍によって発表された。25日、副大統領のゴイタ(Assimi Goïta)大佐は、移行憲章に対する重大な違反があり、二人の特権を剝奪したと発表した。昨年8月に続き、またも軍が政治に介入する事態である
 この事態は、新内閣が発表された直後に起こった。マリでは、最近、労働組合のストライキによって首都が麻痺状態に陥り、14日には首相が辞表を提出した。大統領は辞表を受理し、すぐに首相を再任して、新たな内閣の組閣を命じていた。新内閣が24日に発表されたのだが、そこではカマラ(Sadio Camara)国防相とコネ(Modibo Koné)治安相が再任されなかった。
 昨年のクーデタ直後に結ばれた「移行憲章」では、軍が4つの閣僚ポスト(国防、治安、領域行政、国民和解)を占めることが合意されていた。カマラとコネはクーデタの中心人物でもあり、軍を代表する役割を担っていた。ゴイタは、自分に相談なく内閣改造が行われたことは「移行憲章」に違反するとして、今回の実力行使を正当化した。
 国際社会は、二度目のクーデタだとして反発を強めている。ヨーロッパ諸国は、「受け入れがたいクーデタだ」として反発を強めている。マクロン仏大統領は、大統領と首相の逮捕を非難するとともに、制裁を科す準備があると述べた。ECOWAS(西アフリカ経済共同体)は、25日、ジョナサン前ナイジェリア大統領をマリに派遣し、調停を開始した。
 今回の事件は、移行プロセスから疎外されそうになった軍の反発で起こった。一方、昨年のクーデタ前の大衆運動で中心となった「6月5日運動ー愛国勢力結集」(M5-RFP: Rassemblement des forces patriotiques)は、月曜日に発表された新内閣には不参加を表明していたが、大統領と首相の解任後に組閣される内閣には参加するとの見通しもある(25日ラジオ・フランス・アンテルナシオナル)。状況が落ち着くまで、しばらく注視が必要だ。