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今日のアフリカ

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スーダン政府と反政府勢力が和平協定を正式に承認

2020/10/05/Mon

10月3日付のロイター通信によれば、南スーダンの首都ジュバにおいて、スーダン政府と反政府勢力が和平協定を正式に承認した。

9月1日付の「今日のアフリカ」で伝えたように、双方は8月31日に和平協定に合意している。今回の署名は、この和平協定を正式に承認する最終合意となる。スーダン政府と反政府勢力の和平交渉は南スーダンが仲介役となっており、署名式は南スーダンの首都ジュバで行われた。今回の式典では、スーダン暫定政府の軍部の最高権力者、モハンマド・ハムダン・ダガロ(通称、ヘメティ)中将が出席し、スーダン政府の代表として合意文書に署名した。署名した反政府勢力は、西部のダルフール地方を拠点とする2つの勢力――「スーダン革命戦線(Sudan Revolutionary Front: SRF)」および「ミンニ・ミナウィのスーダン解放運動(Sudan Liberation Movement-Minni Minnawi (SLM-MM) 」――と、南部を拠点にする「スーダン人民解放運動-北部(Sudan People's Liberation Movement-North: SPLM-N)」のうちマリック・アガルが率いる勢力である。

今回の最終合意によって、反政府勢力の軍隊をスーダン軍の治安部隊に統合することや、彼らの土地や政治的な権利を認めることが決められた。また、10年間で7.5億米ドルの資金が、南部と西部の開発や難民・国内避難民の帰還に投じられる予定である。

今回の最終合意には、南コルドファン州を拠点とするアブデルアジズ・アル=ヒル率いるSPLM-Nと、ダルフールを拠点とするアブドゥル・ワヒド・アル=ヌル率いる「スーダン解放運動(Sudan Liberation Movement: SLM-AW)」という2つの有力な反政府勢力が署名していない。このうち、アル=ヒルのSPLM-Nは、バシル政権下においてジャンジャウィードの民兵を再編して組織された準軍組織である迅速支援部隊(Rapid Support Forces: RSF)を率いる司令官であるヘメティが和平プロセスを主導することに反対している。しかしながら、アル=ヒルは9月にアブダッラー・ハムドゥク首相とアジスアベバで和平交渉を行い、敵対行為の停止と政教分離の原則に基づく世俗国家の樹立に関して合意を結んでおり、独自にスーダン政府との和平交渉を水面下で進めているとみられている。一方、SLM-AWは、スーダン暫定政府との和平プロセス自体に参加していない。

スーダン暫定政府、南スーダン政府、ヨーロッパ連合(EU)および国連は、いずれも今回の和平合意を評価するとともに、まだ署名していない2つの反政府勢力に対し、和平プロセスに参加するように呼びかけている。