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今日のアフリカ

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スーダン政府と反政府勢力が和平協定に署名

2020/09/01/Tue

8月31日付のAl Jazeeraによれば、南スーダンの首都ジュバにおいて、スーダン政府と「スーダン革命戦線(Sudan Revolutionary Front: SRF)」に参加する3つの反政府勢力が和平協定に署名した。

署名式は、南スーダンのサルヴァ・キール大統領が見守るなか、アブドゥル・ファッターハ・ブルハン統治評議会議長とアブダッラー・ハムドゥク首相が参加して行われた。また、IGAD諸国だけでなく、スーダンと友好関係にあるチャド、エジプト、サウジアラビアの代表も参列した。

SRFは、2011年11月、バシル政権と対立するダルフール西部、南コルドファン州、青ナイル州の反政府勢力の同盟により結成された。いずれの武装勢力も、スーダン政府によって政治的、経済的に周辺化されてきたことに対する抵抗運動だと主張している。政府軍と反政府勢力の紛争は、ダルフール西部では2003年、南コルドファン州と青ナイル州では2011年に勃発した。国連の発表によれば、この紛争により、ダルフールでは2003年以降に約30万人が殺害された。

2019年4月のバシル政権崩壊後、新たに樹立された暫定政権は、南スーダン政府の仲介の下、SRFと和平交渉を進めてきた。今回、和平協定に署名した反政府勢力は、ダルフール西部を拠点とする「正義と平等運動(Justice and Equality Movement: JEM)」、ミンニ・ミナウィ率いる「スーダン解放軍(Sudan Liberation Army: SLA)、そして「スーダン人民解放運動-北部(Sudan People's Liberation Movement-North: SPLM-N)」のうち青ナイル州を拠点とする党派である。

一方、アブドゥル・ワヒド・ヌル率いる「スーダン解放運動(Sudan Liberation Movement: SLM)」と、南コルドファン州を拠点とするSPLM-Nは、和平合意への参加を拒否した。その理由のひとつは、暫定政権における軍側の最高権力者とされる前暫定軍事評議会副議長、モハンマド・ハムダン・ダガロ(通称、ヘメティ)に対する反発にあるとみられている。

今回の和平協定では、安全保障に関する重要課題、土地保有権、移行期正義、権力分有、紛争による避難民・難民の帰還について明記されているほか、反政府勢力の兵士を国軍に統合することが規定されている。

今回の和平合意に対し、アメリカ、イギリス、ノルウェーは、スーダンの治安改善に向けた重要な一歩になると期待を表明した。一部の反政府勢力が参加していないことを考えると、和平協定が、政府と反政府勢力との対立をすべて解消したとは言えないものの、スーダンにおける和平定着の一歩となることが期待される。