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今日のアフリカ

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ワタラ、次の大統領選に出馬せず

2020/03/08/Sun

コートジボワールのワタラ大統領は、3月5日、両院国会議員の前で、10月31日に予定されている大統領選挙に出馬しないことを表明した。既に二期10年大統領を務めており、三選は憲法で禁じられているので、若い世代に指導を譲るとの説明であった。この意思表明を受け、両院議員からは大きな拍手がわき起こった。
 ワタラの意思表明は、前向きに、しかし意外感をもって受け止められている。コートジボワールでは、2016年に憲法が改正されている(詳細は、佐藤章「コートジボワール新憲法の意義をめぐって」参照)。これまでのワタラの言動から、他のアフリカ諸国の大統領がしばしば用いる論理を使って、憲法改正によってそれまでの当選回数はカウントされなくなると主張し、今年の大統領選挙に出馬する可能性が高いと見られていた。
 この国では、20年以上にわたり、ワタラ、バボ、ベディエという3人の政治家が政治権力をめぐって闘争と協調とを繰り返してきた。今やワタラは77歳、バボは74歳、ベディエは85歳である。昨年12月には、次世代の有力候補と見られていたソロに逮捕状が発出され、彼は亡命を余儀なくされた
 ワタラが出馬を断念したことで、大統領選挙の主役が世代交代する可能性が高まった。これは歓迎すべきことである。ワタラは、現首相のクリバリ(Amadou Gon Coulibaly)を支援するようだが、この首相の人気は高くない。ソロの対応も含め、大統領選挙にはまだ多くの不確実性がある。