大統領選挙を来年に控え、コートジボワールの政治情勢が流動化してきた。バボ、ワタラ政権で首相、国会議長を務め、大統領選挙への立候補を表明していたギヨム・ソロに対し、国際逮捕状が発出された。
23日、ソロを乗せてアビジャンに向かっていた飛行機は、国際逮捕状発出の報を受けて急遽アクラに目的地を変え、ソロはその後パリに移動した。26日、コートジボワール検察は、ギヨム・ソロの逮捕容疑を国家転覆と公金横領・資金洗浄だと発表。ソロ派の国会議員5名も、不逮捕特権があるにもかかわらず、「犯罪の明白性」があるとして逮捕された。
27日付ルモンド紙は、「コートジボワール。チーフたちに囚われた国」と題する論説のなかで、この国が20年来同じ「チーフたち」の間で政治権力闘争を繰り返してきたと述べている。「チーフたち」とは、アラサン=ドラマン・ワタラ、ローラン・バボ、そしてアンリ=コナン・ベディエの3人である。
ベディエ政権がクーデタで倒れたのは、1999年のクリスマスイブのことだった。ベディエは、「イヴォワリテ」(真正のコートジボワール人)という概念を用いて北部出身のワタラを排除しており、このクーデタを歓迎する者も多かった。軍事政権を経て、2000年の選挙後にバボが大統領に就任したが、2002年には西部、北部で武装勢力が蜂起して内戦が勃発した。北部反政府武装勢力の背後にはワタラがおり、ソロもこの陣営の中枢に位置していた。
バボは2010年の大統領選挙で敗北を認めず、内戦を経てハーグの国際刑事裁判所(ICC)に送られた。ワタラは同選挙での勝利によって大統領の座に就き、当初はベディエと協力して政権運営にあたった。バボはICCへの送致によって政治力を失うかと思われたが、2019年1月にICCはバボに無罪を言い渡した。現在なお、ICCの保護観察下にあるバボは帰国できないものの、依然として支持者から絶大な人気を得ている。
ワタラは77歳、バボは74歳、そしてベディエは85歳である。これらの「チーフたち」は地域的な支持を背景に、権力闘争を続けている。ソロは47歳と一世代若いが、今回の逮捕状発出によって、大統領選挙には参加できなくなる。大統領選挙で脅威となるライバルに逮捕状を発出するという手法は、コンゴ民主共和国など、他国でもしばしばみられる。ワタラの今回の措置は、かつてベディエ政権やバボ政権の下で自分が受けてきた政治的排除を一世代下の政治的ライバルに向けて発動するものだ。これにより、同政権の国際的な信頼は大きく損なわれることになるだろう。