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今日のアフリカ

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コンゴ民主共和国、野党統一候補の合意崩れる

2018/11/13/Tue

12月23日の選挙まで1か月余りに迫り、コンゴの政局をめぐる動きが慌ただしくなっている。8月、カビラ大統領は後継にラマザニ・シャダリを指名。一方、野党側は、ベンバやカトゥンビといった大物が立候補資格の却下や政府側の妨害で選挙に参加できなくなってから、統一候補の擁立を模索してきた。コフィ・アナン財団の仲介により、7人の有力野党指導者が協議を続けてきたが、ジュネーブで3日間に及ぶ話し合いを行った結果、11月11日にファユル(Martin Fayulu)を野党統一候補とするとの合意が発表された。ファユルはバンドゥンドゥの出身で、政党「市民権と開発のための約束」(Engagement pour la citoyenneté et le développement: Ecidé)の代表。かつてMobil石油の社長を務めた実業家である。2006年選挙で議員となり、当初はカビラを支持していたが、任期切れ後も大統領職に留まるカビラに抗議するため、今年2月辞任した。
 しかし、一夜明けた12日、フェリックス・チセケディとヴィタル・カメルヘが合意撤回を発表した。いずれもそれぞれの政党を抱えているが、ファユルを野党統一候補とすることに自党の合意が得られなかったと説明している。トップが党組織を説得できなかったわけだが、党サイドとすれば、取り立てて人気があるわけではないファユルのために我が党党首が立候補を取り下げるのは納得できないということである。ベンバやカトゥンビがわざと不人気なファユルを統一候補とし、次の選挙に向けた布石を打ったとの見方さえ流されている(11月13日付ルモンド)。いずれにせよ、野党統一候補の擁立はこれでなくなった。有力候補者が立候補資格を却下され、統一候補の擁立もできないとなると、与党候補が優位に立つことは疑いない。
 12月の選挙を巡っては、選挙管理委員会が導入を決めた電子投票用機材(machine à voter)の扱いが問題になっている。不正を助長するとして、野党側がその利用に強く反対しているからである。今から投票用紙を印刷する時間的余裕はないとの見方もあり(10月12日付Africa Confidential)、野党側はこの問題を理由に選挙をボイコットするかもしれない。