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今日のアフリカ

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ルワンダの虐殺とフランス

2018/10/27/Sat

 26日、パリで、人権連盟(LDH)、人権NGOのSurvie、人権連盟国際機構(FIDH)が、1994年6月末にルワンダのビセセロで起こった虐殺事件でのフランス軍の対応に関する共同記者会見を開いた。記者会見では、今年7月末にビセセロ虐殺とフランス軍の行動に関する予審が公表されることなく終了したことに疑問が投げかけられた。
 ルワンダ南部のビセセロでは、1994年6月27~30日に、数千人のトゥチが丘の頂上に追い詰められて虐殺された。この事件に関して、人道支援「トルコ石作戦」で展開し、すぐ近くに宿営していたフランス軍が、6月27日には虐殺の報を受けていたのに対応を怠ったと告発されていたのである。記者会見の前日には、虐殺の報に対して無関心な返事をするフランス軍将校のビデオが公開され、予審終了に対する疑念に拍車をかけている。
 1994年のルワンダ虐殺から四半世紀が経過したが、フランスでは依然活発な議論が続いている。背景には、1994年当時のミッテラン政権が、虐殺を推進した旧ハビャリマナ政権勢力を支援し、ゲリラ組織RPFを敵視したことがある。その後RPFが政権を握ったため、フランスとルワンダとの関係はずっとぎくしゃくしてきた。マクロン政権になり、ルワンダの現職外相を仏語圏諸国国際機構(OIF)事務局長に据えるなど両国が急接近していることは、本欄でも報告したところである。ほぼ時を同じくして、10月10日には、パリ検察がハビャリマナ大統領搭乗機撃墜事件に関して、ルワンダ元国防相を含む8人の容疑者について免訴を要求した。RPF政権の中枢を多数告発した事件を不問に付す決定で、政治的な意図が明らかである。
 虐殺におけるフランス軍の役割は、長くRPF政権が解明を求めてきたものである。RPF政権とフランスの接近によって、ルワンダからこの問題解明に向けた圧力は減るかもしれない。しかし、RPF政権とは無関係のNGOからの圧力は止まないだろう。近い過去における自国軍をめぐる疑念にマクロン政権はどのように対応していくのだろうか。