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今日のアフリカ

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コモロの憲法改正

2018/08/01/Wed

インド洋の島しょ国コモロで、7月30日に憲法改正レファレンダムが実施された。コモロでは、政情不安が繰り返された反省から、2001年以降、大統領職を3つの主要な島で持ち回りする仕組みが憲法で定められてきた。すなわち、ンガジジャ島(Ngazidja, 旧Grande Comore)、モワリ(Moili, 旧Moheli)、ンズアニ(Ndzouani, 旧Anjouan)の3島から5年毎に大統領を選出し、同じ島から連続して大統領を選出することは認められない仕組みである。7月27日付ルモンド紙によれば、今回の憲法改正では、大統領が二期続けて任期を務めることが可能になるとともに、3ポストあった副大統領職と憲法裁判所が廃止された。現在の大統領はンガジジャ島出身のアザリ(Azali Assoumani)であるが、彼の任期はもともと2021年までだった。憲法改正が承認されたことで、彼は今後10年合法的に大統領職にとどまることができる。今回の憲法改正は、3つの島の間に平等に配分されてきた権力を集権化する方向に改編するものと捉えられる。野党や市民社会は憲法改正に反発し、ボイコットを呼びかけたが、投票率は63.9%であった(7月31日付ルモンド紙)。この投票率をどう評価すべきかはより詳細な検討が必要である。政情不安が繰り返された反省から導入された分権的な制度をより集権的に変更する試みであるだけに、今回の憲法改正が再び政情不安の要因にならないか、率直に言って懸念を覚える。