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今日のアフリカ

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バボ前コートジボワール大統領、ICC無罪判決後にベルギーが受入れ

2019/02/06/Wed

バボ前大統領とブレ・グデ前愛国青年運動指導者は、2011年の政治危機後、国際刑事裁判所(ICC)に拘束、起訴されていたが、1月15日に無罪判決が下された。しかし、2月1日、ICCは釈放を条件付きとすることとし、事実上バボらが帰国することを禁じた。その後、家族が居住しているとの理由でベルギーが受入れを表明し、5日バボらが同国に移動したことが確認された。
 昨年6月、ベンバ(元コンゴ民主共和国副大統領)に無罪判決が下されたことに続き、今回の措置はICCにとって大きな痛手である。1月18日付ルモンド紙は、バボらの逮捕に際して、バボの政敵ワタラ(現大統領)を支援していたフランスがICCに影響力を行使したと報じている。政治的意図が優先され、十分な裏付けのないまま逮捕、起訴が進められたというのである。ICCは捜査力が乏しく、実際の捜査にあたっては各国の警察などに頼らざるを得ないというのは、以前から指摘されていた。今回はそこにフランスの政治的意図が入り込んだ、ということだろう。
 今回の決定は、国際的にも、国内的にも大きな影響を有する。ベンバに続く無罪判決で、ICCへの信頼が一層揺らぐことは避けられない。モレノ=オカンポ検事総長時代のICCの姿勢が、問い直されることになるだろう。国内的な影響も大きい。当面バボ自身の帰国はないとはいえ、関係者が大挙して帰国しており、バボが率いた政党FPIは勢いづいている。一方、ワタラ大統領派からは、かつて同盟を組んだベディエ、そして彼が主導するPDCIが離脱し、内戦時にワタラ派を軍事的に支えたソロ(国会議長)も袂を分かった。この先、次の選挙に向けて、コートジボワールの政治情勢はさらに流動化していくだろう。