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今日のアフリカ

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AUがコンゴ大統領選挙結果発表停止を要請

2019/01/19/Sat

17日、アフリカ連合(AU)のカガメ議長は、コンゴに対して、大統領選挙の最終結果発表を中止するよう要請した。17日に開催されたコンゴに対する討議を受けてのもので、重大な不正疑惑がぬぐえず、アフリカ域外からの介入を招きかねないとの理由である。
 コンゴの大統領選挙に関しては、10日に野党候補チセケディの勝利が発表されたが、独自の選挙監視を行ったカトリック教会やリークされた情報をもとに分析したファイナンシャルタイムズなどのメディアがいずれもファユルが圧倒的に勝利したとの見解を公表し、選挙不正疑惑が高まっていた
 17日のAUによる声明は大きな衝撃である。それまでの国際社会の雰囲気は、どちらかと言えばコンゴの選挙結果にこれ以上口出しすることに否定的であった。選挙不正があったことはほぼ確実だとしても、その点を追及すればコンゴ内政が更なる混乱に陥ることは避けられないし、国連安保理はロシアが明確に再選挙に反対を表明しているため実質的に動けない。選挙結果に従えばカビラが政権から去ることになるので、「嘘」を受け入れる方が賢明なのではないか、という雰囲気だった。しかし、AUはこれに異を唱えたわけである。AUの要請に対して、18日、コンゴ政府は、AUに他国の選挙に介入する権利はないと反発した。
 AU議長はカガメ・ルワンダ大統領である。アフリカを知る者は誰も、これは厄介な構図だと感じるだろう。ルワンダは1990年代半ば以降、陰に陽にコンゴ内政に関与してきた。コンゴ国内でルワンダに対する反発が極めて強い。選挙結果発表の停止を求めるカガメの発言はAU議長のものであって、ルワンダ大統領のそれではないとはいえ、コンゴ国内でそのようには受け取られないだろう。予定ではこの週末に憲法裁判所が選挙の最終結果を発表し、来週火曜(22日)に大統領就任式が挙行される。コンゴはAUの要請を受け入れず、国際的な孤立を深める可能性が強い。