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Africa Today今日のアフリカ

今日のアフリカ

2018年09月

ブルンジが国際NGOの活動を3か月間停止

2018/09/29/Sat

9月28日付ルモンド紙の報道によれば、ブルンジ政府は10月1日より国際NGOの活動を3か月間停止することを決定。国家安全保障委員会事務局長のンティグリルワ(Silas Ntigurirwa)将軍がTVメッセージで発表した。国際NGOの大部分が法に沿った活動をしていないとの理由付けであり、活動再開にあたっては、2017年1月に発布された新法に則ることを求めている。具体的には、厳格な会計管理とともに、エスニッククオータ(フトゥ60%、トゥチ40%)の遵守が要求されている。再開にあたってどのような審査が必要とされるかなど、具体的な内容は明らかになっていない。 ブルンジは2015年にンクルンジザ大統領が三選出馬を表明して以降危機的状態にあり、西側諸国は政府間援助を事実上凍結している。そうした状況下、これまで援助における国際NGOの役割は非常に大きなものだっただけに、今回の措置が人道状況をさらに悪化させる恐れが懸念される。

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中国の対アフリカ投融資と債務問題

2018/09/28/Fri

 中国がアフリカへの関与を深めるなか、その債務負担がアフリカ諸国にとって過大となる恐れが指摘されるようになった。9月上旬に北京で開催された中国・アフリカサミット(FOCAC)でも、習近平主席がアフリカ首脳を前に、中国は中味のない投資に資金を出さないと釘を刺し、債務問題を気にしている姿勢を明らかにした。 9月26日付ファイナンシャルタイムズ紙は、ケニアの鉄道の事例を紹介し、それが一帯一路政策(BRI)のアフリカに対する展開を象徴していると論じている。ケニアの鉄道にはまず32億ドルが投資され、モンバサとナイロビをつなぐ475kmが16か月前に開通した。これに関しては、資金供与の不透明性に関する批判も強かった。開通から間を置かず、ナイロビとナイバシャ(リフトバレー)を結ぶ120km(15億ドル)が着工された。この際の融資はより周到に調査され、2019年6月の完成が予定されている。 ケニア政府は9月のFOCACサミットの際に第3フェーズ(ナイバシャーキスム間)の調印を期待していたが、中国政府は38億ドルと見積もられるこの融資の調印を行わなかった。ケニアのインフラ相によれば、中国からより詳細なフィージビリティ調査を求められたという。中国は対アフリカ融資に関して、より焦点を絞ったアプローチに切り替えている。 これは、中国の対アフリカ債務増大への懸念と符合した動きだが、ファイナンシャルタイムズ紙に掲載されたデボラ・ブローティガム教授(ジョンズ・ホプキンス大)の分析によれば、政策変化には国内的な配慮もあるという。中国のアフリカ政府に対する融資は縮小しているが、民間企業間のリンクは強化されており、特に建設セクターでは中国企業の国外利益の32%がアフリカで生み出されている。中国企業は、政府に対してBRIにアフリカのプロジェクトを含めるよう積極的にロビイングしているという。 この分析が正しいとすれば、BRIは中国民間企業に押される形でアフリカ大陸へと延伸しつつあるということだ。一方で、インフラ建設がアフリカの経済成長に結びつかなければ、債務問題が浮上することは避けられない。結局のところ、アフリカが借りたカネに見合った経済成長を実現できるかが問われている。

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ルワンダで政治犯釈放

2018/09/27/Thu

 9月15日、ルワンダの政府系紙ニュータイムズは、カガメ大統領が2140人の受刑者に恩赦を与えたと報じた。この中には、野党指導者のヴィクトワール・インガビレや著名な歌手で反政府的な歌を歌ったとして収監されたキジト・ミヒゴなど、政治犯も含まれていた。この動きを巡っては、ルワンダの政治的開放の進展を示すものとは見なし難いとの認識が一般的だ。 17日付ファイナンシャルタイムズ紙は、SOASのルワンダ研究者フィル・クラークのインタビューを掲載し、インガビレらの釈放を評価しつつも、他の野党指導者で収監されたままになっている人々が数多くいることや、現在ではインガビレの政治的影響力が低下していることから、政府にとって釈放のリスクは高くないという、クラークの見解を紹介した。クラークは親RPF政権の立場を隠さないことで知られている。彼でさえ、今回の措置を政治的開放の端緒と見ることに懐疑的なのだから、多くの研究者がどう評価しているかは推して知るべしである。 カガメ大統領自身、19日、新任の上院議会宣誓式で演説し、「恩赦された反政府勢力が『自分は謝っていない』とか、『外国の圧力で釈放した』とか、言っている者がいるが、ルワンダは外国の圧力で動くことはない。それを証明するために、彼らを再び収監することもできる」、と述べた(9月20日付RFI)。カガメ率いる強面のルワンダ像は揺るがないように見える。 とはいえ、大量の政治犯が釈放されたことは事実である。つまり、ルワンダの政治的意思決定に関わるどこかで、政治犯の釈放のアイデアが出て、それが実現されたわけである。少なくともその事実には留意しておきたい。

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マクロン仏大統領、アルジェリア戦争時の拷問を認め、謝罪

2018/09/18/Tue

 9月13日、マクロン仏大統領は、1957年にアルジェでフランス軍に拘束され行方不明となったモーリス・オダン(Maurice Audin)の死について、軍の責任を認め、未亡人に謝罪した。数学者でアルジェ大学教授であったオダンは、共産主義者でアルジェリアの独立を支持し、FLN(アルジェリア民族解放戦線)とも繋がりがあった。マクロンは、Audinがフランス軍に拘束されたうえで拷問を受け、それによって死亡した、もしくはその後処刑されたとして、共和国の名において責任を認め、87歳の未亡人に面会し謝罪した。 今回の謝罪が実現するには長い時間がかかっている。2007年に未亡人がサルコジ大統領に手紙を書いたとき、返答はいっさいなかった。一方、フランソワ・オランド前大統領は、2014年6月18日、オダンは公に言われているように失踪したのではなく、拘禁中に死亡したと発言した。今回の謝罪の手紙と面会は、その延長線上にある。マクロンは、共和国議会の投票によって導入された「特別権力」のため、「逮捕・拘禁」システムが出来上がり、それがこの悲劇を招いたと説明した。軍の責任を認めつつも、軍だけでなく議会の決定で導入されたシステムの問題だと述べたわけである。 今回の措置により、フランスがアルジェリアの独立を阻止するため、拷問を含めた非人道的な措置を広範に用いていたことがはっきりした。14日のルモンド紙の社説では、マクロンが決定的な一歩を踏み出したとして、アルジェリア戦争の過去を明らかにすることは、フランス・アルジェリア両国の和解にとって不可欠だし、アルジェリアにも同様の行動を促すことになるとして評価した。アルジェリア側は公式には目立った反応をしていないものの、総じてマクロンの行為を評価する声が目立つ。一方、極右政党の国民戦線は、国民を分断させる行為だとして大統領を強く批判した。 自国の暗い過去を明らかにすることは、簡単ではない。それは指導者の決断がなければできないことである。しかし、ルモンド紙が指摘するように、これはフランス・アルジェリア間の真の和解を達成するには不可欠の行為と言えるだろう。マクロンは就任前から、植民地主義を人道に反する罪だと述べるなど、植民地統治の関わる問題について積極的に発言してきた。この勇気ある行動が、フランスとアルジェリアの相互理解と過去の克服に繋がることを願う。

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コンゴ民主共和国の大統領選挙

2018/09/10/Mon

9月3日、コンゴの憲法裁判所は、ジャン=ピエール・ベンバに対して12月23日に予定されている大統領選挙の立候補資格を認めない判決を下した。理由は、ベンバがICCにおいて証人買収容疑で起訴されているため。8月にベンバが立候補届を提出したのに対して、選挙委員会(CENI)が立候補資格を認めない決定を下し、それに対してベンバ側が憲法裁判所に訴えていた。この判決により、ベンバの大統領選挙への立候補資格は最終的に認められないこととなった。 ベンバは、2002-03年に彼が指導していた反政府武装勢力(MLC)が中央アフリカで行った残虐行為の責任を問われてICCで起訴されていたが、6月に無罪判決が下された。しかし、彼は2018年3月、ICCによって、商人を買収した容疑で懲役1年、罰金30万ユーロの判決を受けている。ベンバ側はこの件について、9月17日に上告する意向を明らかにしている。今回、憲法裁判所は、この起訴を理由としてベンバの立候補資格を認めなかった。 今回の憲法裁判所判決によって、ベンバの大統領選挙への道は閉ざされた。もう一人の有力候補であるカトゥンビ(前カタンガ州知事)は、8月に立候補届を提出しようとザンビア国境から入国を試みたが、警官隊などの妨害により果たせなかった。結局、ベンバとカトゥンビという2人の有力候補はいずれも大統領選挙に参加できないこととなった。 カビラは8月8日、後継者としてラマザニ・シャダリ元内相を指名したが、有力なライバルを排除した選挙でラマザニ・シャダリが当選させ、自分が陰で操るつもりだとの見方が強まっている(例えば、8月31日付Africa Confidential)。

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中国・アフリカ協力フォーラムをめぐって

2018/09/08/Sat

 9月3-4日、北京で中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)が開催され、エスワティニ(スワジランド)以外のアフリカ53か国が出席した。会議において、習近平主席は総額600億ドルの対アフリカ支援を約束。これは3年前にヨハネスブルクで開催されたFOCACでの支援約束額と同じである。 中国のアフリカにおけるプレゼンスを反映して、FOCACは世界的な関心を集めた。多くの報道が、中国にとって近年アフリカの重要性が増したと指摘している。ルモンド紙は、一帯一路政策がマレーシア、スリランカ、ミャンマーなどアジアで批判を浴びるにつれて、中国はアフリカへの伸長を打ち出すようになっており、ジブチへの軍事基地設置もその文脈で捉えるべきだと指摘している(9月4日付)。習近平は過去5年間で4回アフリカ大陸を訪問しており、その重要性を強く認識していることがわかる。中国と米国との軋轢が注目を集める状況下、FOCACは戦略的な側面でのアフリカの重要性を再認識させたと言えるだろう。 一方、FOCACなどでアフリカに大規模な援助を供与することに対しては、中国国内に批判的な声がある。4日付FT紙は、そうした批判的な声がソーシャルメディアに掲載され、すぐに当局によって削除されたと報じている。 とはいえ、中国はアフリカに援助の大盤振る舞いをするという姿勢から、アフリカへの自国企業進出を後押しするという政策へ転換しつつあるようだ。今回のFOCACに際してもアフリカ諸国の対中国債務増大の危険性がしばしば指摘されたが、中国自身その点には自覚的である。 中国民間企業のアフリカ進出は非常に活発である。4日付ファイナンシャルタイムズ(FT)紙には、米国シンクタンクAtlantic Councilの研究員が、アリババを例に挙げて、中国ハイテク企業のアフリカ進出が急速に進んでおり、ローカルの企業家との間に密接な関係を築きつつあることを指摘するオピニオンが掲載された。米国のなかにも、アマゾンなどハイテク企業のアフリカ進出が中国企業に比べて出遅れているという認識がある。ジャック・マーの名前はアフリカでも非常によく知られている。FOCACは政府が旗を振るイベントだが、中国民間企業のアフリカ進出が急速に進んでいることにも留意すべきである。

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ドス・サントス前大統領、遂に党総裁の地位からも降りる

2018/09/08/Sat

アンゴラ与党MPLA(アンゴラ解放人民運動)は9月8日付でホームページにて党総裁の交代を発表した。昨年9月、ローレンソ大統領が就任してからも、ドス・サントス前大統領は党総裁の地位を維持してきたが、本年9月8日の党大会にてローレンソ大統領が党総裁に選任され、ドス・サントス氏は党のトップの地位も降りるとなり、後任の総裁はローレンソ大統領となった。党総裁の交代は、昨年来、予想されていたものである。1979年以来、長期にわたり国を動かしてきたドス・サントス氏は、政府の指揮権と党の指揮権の双方を後任に譲り渡したことになる。

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アフリカで拡大する肌の漂白

2018/09/07/Fri

9月2日、AFPはアフリカで拡大している肌の漂白クリームについての記事を掲載した。この記事によれば、米ノースカロライナセントラル大学の研究者ヤバ・ブレイ氏は、「肌の漂白は、白さと共に権力や特権を手に入れようとする人々の意識の表れだ」と指摘しているとし、特に10代の若者の間で肌の漂白が大幅に増加する傾向にあると報じている。WHOは2011年、ナイジェリアだけでも女性の77%が漂白クリームを使用していると推定している。 漂白クリームは皮膚の異常を引き起こすだけでなく、腎臓、生殖器に損傷を与えると指摘されており、がんを引き起こし、神経系に影響を及ぼし、胎児をむしばむ危険性があるとされている。近年では漂白クリームだけでなく、胎児の肌を白くするための錠剤も違法に流通している。ガーナでは違法薬物の使用増加を受け、妊婦への警告を発している。この違法薬物は、胎児の四肢や内臓の損傷を含む先天異常を引き起こす可能性があると指摘されている。 一方で、肌の漂白への批判の高まりもみられ、ガーナでは今年の2月、激しい訓練中に出血する可能性があるとして、入国管理局の採用試験で漂白クリーム使用者を失格とすることが取り決められた。世界的にみれば、インスタグラムでは黒い肌をたたえるハッシュタグ「#Melaninpoppin(メラニンは美しい)」が話題となっており、フェイスブックではアフリカの美しいファッションを配信する「african fashion」のフォロワー数が24万人を超えている。また、2018年公開の映画「ブラックパンサー」が大ヒットし、色彩豊かな衣装と黒人俳優のありのままの肌の美しさが評価された。しかし、漂白クリームの使用拡大の様子から、アフリカではいまだ白い肌を称賛する傾向が強いといえる。

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