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今日のアフリカ

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YouTubeがナイジェリアのテレビ伝道師のアカウントを停止

2021/04/17/Sat

アフリカで最も影響力のあるテレビ伝道者の1人であるTB ジョシュア氏のYouTubeのアカウントが、同性愛を「治す」映像の問題を受けて停止されたことが報じられている(BBC 4月16日)。彼のYouTubeアカウントには180万人のチャンネル登録者がいたとされる。YouTubeによるこの決定はイギリスの政治サイトopen Democracyによる訴えを受けたことによる。映像は、TBジョシュア氏が大規模集会の中で「女性の霊」にとり憑かれているとしてある女性の頭を叩き、悪霊祓いするものだった。その後「女性の霊」が祓われた女性が、男性に愛情を持つように変化したことを証言する姿が映しだされた。

このアカウントは「同性愛の悪霊」を追い出すことにより同性愛を「治す」ことを示す同様の映像が少なくとも7本アップされていたとされる(open Democracy 4月16日)。YouTubeは性的指向を病気、或いは劣っていると主張するようなコンテンツをガイドラインで禁止しているとして、アカウントを休止した。

TB ジョシュア氏は「シナゴーグ、全て国々の教会」の設立者であり、アフリカの有力な政治家からも多数の支持がある。彼の教会は、HIV /エイズを含むあらゆる種類の病気を癒すと公言し、世界中から人々を惹きつけてきた。アフリカで1990年代から特に存在感を増したテレビ伝道者は、各国内でテレビ局を持つことが多いが、近年においてはインターネットでの配信にも力を入れ影響をよりグローバルに広げている。今回の件は、その結果生じた価値の摩擦とみることもできるだろう。アフリカでは同性愛間の性交渉が法律による処罰になる国も多く、ナイジェリアでも違法とされている。メディアを介して宗教がグローバル化することによって、国内では争点とならない問題に対して外部の価値的な介入が可能となった例とも捉えられる。