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今日のアフリカ

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スーダン内戦続報

2023/11/17/Fri

 スーダンの準軍事組織RSFによるダルフール制圧についてこの欄で紹介したばかりだが、事態はさらに進んでいたようだ。16日付ルモンド紙は、スーダン国土の三分の二がRSFの制圧下にあると報じている。
 報道によれば、ブルハン指揮下のスーダン国軍(SAF)が押さえているのは、ナイル川と紅海、北はエジプト国境、南はエチオピア国境に挟まれた部分に過ぎない。首都ハルツームでもSAFは劣勢で、ヘメティ指揮下のRSFがその9割を制圧している。スーダン国軍側は、政府機能を紅海沿岸のポート・スーダンに移した。RSFはダルフールに加えて、コルドファンでも地歩を固めつつある。
 RSFは、スーダン国境付近を押さえ、リビア、中央アフリカ、チャドなど、広域から戦闘員や武器を調達している。ロシアやワグネル、リビアのLNA、エチオピア、チャド、そしてUAEなど、巨大なネットワークを利用して武器や兵員を増強させてきた。一方の国軍は、十分な支援が得られていない。エジプトやカタールなど、同盟国からの支援も不十分だという。
 ダルフールで残虐行為を繰り返してきたヘメティのRSFが国土の過半を支配する状況は、控えめに言っても恐ろしい。16日付ルモンド紙は、「我々が目にしているのは、ジェノサイドに手を染めた民兵が三分の二を支配し、周りを破綻国家に囲まれた巨大な国が出現することだ。この危険性に十分な注意が払われていない」という米国ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)のキャメロン・ハドソン研究員の発言を紹介している。
 スーダン内戦では、既に1万2千人以上が犠牲になっているという。マリ、ブルキナファソ、ニジェールからスーダン、エチオピア、ソマリアまで、サヘル周辺部が次々に紛争に陥り、不安定化している状況は、非常に憂慮すべきことである。
(武内進一)