28日の現地時間13時頃、大統領警護隊トップのチアニ(Abdourahamane Tchiani)将軍が国営テレビで演説し、バズーム政権の転覆を発表した。昨日発表された軍事政権、祖国防衛国民評議会(CNSP)のトップにチアニが就任する見通しとなった。
チアニは、バズーム大統領の前任者の時代から大統領警護隊のトップを務めており、CNSPには軍の重鎮が顔を揃えている。この点で今回のクーデタは、若手の将校グループが中心となったマリやブルキナファソとは異なっている。
28日付ルモンド紙は社説で、西側はこのクーデタから、この地域で繰り返される失敗の原因を探る機会としなければならない、と論じた。サヘル地域にイスラム急進主義勢力が広がり、そしてマリとブルキナファソがクーデタを経て西側に背を向けるなか、ニジェールは数少ない西側の拠点であった。フランスと米国が1000人規模の軍を駐留させ、経済支援とともに軍事支援を行ってきた。その軍が民主的に選出された政権を放逐する結果となったことで、これまで軍を支援してきた国々は深刻な反省を迫られるだろう。
クーデタの報を受け、プリゴジンはクーデタが「ニジェール人民の植民地主義者に対する戦い」だと賞賛し、軍事支援を申し出た。ロシア政府もクーデタを非難しているが(27日付ルモンド)、今後はこの国をめぐる各国の駆け引きが強まるだろう。
(武内進一)