2021年10月のクーデタ以降軍事政権下にあったスーダンで、15日、大規模な軍事衝突が発生した。副大統領のモハメド・ハムダン・ダガロ(通称ヘメティ)が率いる迅速支援部隊(Rapid Support Force:RSF)と、大統領で国軍総司令官アブデル・ファタハ・アブデルラフマン・アル・ブルハーン指揮下の国軍が衝突したのである。15日、ハルツームの複数の市街で銃撃と爆発音が絶え間なく聞こえたと報じられている(15日付ルモンド、16日付ファイナンシャルタイムズ)。
RSF側は、首都ハルツームで空港と大統領府を占拠したと主張し、国軍側はこれを否定している。ヘメティはアル・ジャジーラに出演し、全土で軍基地の掌握を目指すとして、ブルハーンを「犯罪者」だと述べた。国軍側も、「敵」に対する作戦を行っているとして、「敵」が空港に侵入してサウジアラビアの民間航空機に損害を与えたものの、空港は依然国軍側の制圧下にあると主張している。
2021年10月のクーデタ以来、ブルハーンとヘメティは協力して政権を維持し、市民勢力を抑圧してきた。一方、国際社会から民政移管に向けた圧力を受け、市民勢力との交渉が行われるなかで、ヘメティはクーデタを批判し、市民側に付く動きを見せていた。これに伴って両者間の緊張が高まり、数日前から両軍が衝突するとの噂が町に流れていた(15日付ルモンド)。
衝突を受けて、AUや米国、ロシア、エジプト、サウジアラビア、UAEなど関係各国は、こぞって両者に戦闘中止を呼びかけた。
国軍トップとナンバー2がそれぞれの軍を率いて衝突するのは、南スーダンの状況と同じ構図である。いったん衝突が起これば、南スーダンと同様に簡単には収束しないだろう。
(武内進一)