エチオピアの和平プロセスが進展を見せている。2020年11月に北部ティグライ州で勃発した内戦は、去る11月2日に停戦合意が結ばれたが、12月に入って幾つかの目に見える変化があった。
12月6日には州都メケレが全国電気網に再接続され、電気が復旧した。19日には大手のエチオピア商業銀行(CBE)が営業を再開。28日にはエチオピア航空がメケレとの間で運行を開始した。そして29日、エチオピア連邦警察が州都入りし、活動を再開した(30日付ルモンド)。
11月2日の和平合意は、TPLF側の武装解除、動員解除を求めるなど、ハードルの高い内容であった。合意締結後、11月16日に初めてWFPの食糧支援がティグライ州に入ったと報じられ(11月17日付ルモンド)、状況改善が期待されている。TPLF側の武装解除、動員解除についても、TPLF司令官が前線兵士の65%が動員解除されたと述べるなど(12月4日付ルモンド)、一定の進展を見せているようだ。
この内戦ではメディアが完全にシャットアウトされ、何が起こっているのかわからない状況が続いた。和平プロセスの進展は容易ではないだろうが、少しずつでも市民に日常生活が戻りつつあることをまずは喜びたい。29日、AUはメケレに調査団を派遣すると発表したが(30日付ルモンド)、こうした内戦後の検証は持続的な平和のために不可欠であろう。
(武内進一)