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今日のアフリカ

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エチオピア内戦で停戦合意

2022/11/03/Thu

 2日、内戦中のエチオピア連邦政府とティグライ人民解放戦線(TPLF)は、停戦に合意した。合意文書では、エチオピアの主権と領土的一体性を尊重し、TPLF戦闘員の「武装解除、動員解除、再統合」を行うことが記された。エチオピア政府は,「人道組織と協力して、必要な支援物資供給に継続的に取り組む」としている(3日付ルモンド)。
 連邦政府とTPLFは、10月24日以降、アフリカ連合(AU)の仲介を通じて、南アフリカのプレトリアで交渉を続けてきた。2020年11月に勃発した内戦は、連邦政府が徹底した情報統制を敷いたため、戦地の情報がほとんど入らないままに継続してきた。3月に政府軍が一方的に停戦を宣言したものの、8月末に戦闘が再開。9月になってようやく、TPLF側がオバサンジョ元ナイジェリア大統領を仲介者とするAUの交渉枠組みを受け入れた。交渉中も戦闘が継続し、10月半ばからは、エリトリア、アムハラ・アファル民兵の支援を受けた連邦政府が優勢な戦況であった。
 上記の報道の通りにTPLFが「武装解除、動員解除、再統合」(DDR)を受け入れるとすれば、これは連邦政府側が有利な条件で戦争を終えることになる。情報統制のために内戦の詳細な実態は全くわかっていないが、この間国際的な人道団体は繰り返し「人道的なカタストロフ」が起きていると警告してきた。トルコ製ドローンが投入され、空爆が繰り返されたため、甚大な人的、物的被害が出ていることは確実である。TPLFが「武装解除」を受け入れるのか、停戦合意が永続するのかは未知数である。
(武内進一)