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今日のアフリカ

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スーダンの文民首相が辞任表明

2022/01/03/Mon

 2日、ハムドク首相はTV演説を行い、辞任を表明した。首相に復帰してから2ヶ月足らずでの辞任となった。スーダンでは、2019年4月に30年間政権を独占したバシール前大統領が失脚した後、軍と文民とが権力を分有する形で、選挙に向けた移行が進められてきたが、昨年10月25日にブルハーン将軍をトップとする軍がクーデタを挙行し、全権を掌握した。文民を代表してきた首相のハムドクは自宅軟禁されたが、軍との協約を結び、11月21日に首相に復帰した。
 ハムドクの首相復帰に関して、国連や西側諸国は支持する姿勢を示したものの、国内の市民社会は反発し、デモを継続してきた。これに対して軍部はデモ隊に催涙ガスを打ち込むなど一貫して鎮圧を図り、12月30日にはオムドゥルマン(ナイル川を挟んでハルツームの対岸)で、治安部隊の発砲によりデモ参加者が殺害される事態に至っていた(12月30日付ルモンド)。
 ハムドクの辞任によって、文民政権への移行への道筋はさらに不透明となった。グテーレス国連事務総長は、12月1日、「『軍といかなる交渉もしたくない』という気持ちはわかるが、首相が解放されて職務に復帰したのは大きな勝利だと思う」と述べて、デモを続ける民衆に「常識」を呼びかけていた(12月2日付ルモンド)。多くの外部者にとって、これが偽らざる気持ちだったのではないだろうか。しかし、事態はそのように進まなかった。上からのコントロールを拒否した下からの運動は、どこに向かうのだろうか。