フランス司法当局の予審判事は、12月21日、1994年のハビャリマナ大統領搭乗機撃墜事件に関する訴追を取り下げる決定をした。当時のルワンダ大統領が乗った飛行機がキガリ空港到着直前にロケット砲で撃墜されるというこの衝撃的な事件は、同年のルワンダ大虐殺の引き金となり、誰が関与したのか強い関心を集めてきた。
撃墜された飛行機パイロットの家族がフランスで訴えを起こし、2006年にはブルギエール(Jean-Louis Bruguière)予審判事がカガメ大統領側近のRPF(政権与党:ルワンダ愛国戦線)要人に責任があるとして訴追を決定した。これに対してルワンダはフランスとの外交関係を断絶し、両国間に激しい緊張を生み出した。
その後、ルワンダとフランスの外交関係は徐々に好転し、特にマクロン政権になって以降、関係改善を進める具体的な動きが顕著に表れてきた。ルワンダ現職外相だったムシキワボが、マクロンの後押しでフランス語圏諸国国際機構(OIF)事務局長に選出されたのは、その代表例である。今回の免訴決定も、両国の外交関係改善という背景抜きに考えられない。26日のBBCの報道によれば、ハビャリマナの未亡人アガタの弁護士は今回の決定を政治的判断だと評価したが、それは当然の反応であろう。
この決定は、ルワンダのカガメ政権が何も譲歩することなく、フランス側が振り上げた拳を下ろさざるを得なかったことを意味する。カガメ政権の外交的な立場はいっそう強まったと言える。
今日のアフリカ
フランス司法当局、ルワンダ要人への免訴決定
2018/12/28/Fri