12月23日の大統領選挙に向けた選挙戦が、11月21日に開始された。野党の大物ベンバとカトゥンビの支持を取り付けたファユル(Martin Fayulu)は選挙戦のために帰国し、空港で支持者から盛大な歓迎を受けた(21日付ルモンド紙)。キンシャサに組織を持つベンバとカトゥンビの支持者が支援に回ったと見られる。一方、同じく野党のチセケディとカメルへは、ファユルを野党統一候補とすることにいったんは合意しながら、党内の反対を理由に離脱した。その後、23日になって、両者は新たに同盟を結ぶことを発表。チセケディが当選した暁にはカメルへを首相に任命する約束で、カメルへが選挙戦から撤退した。これにより、与党が推すラザマニ・シャダリに、ベンバとカトゥンビの支持者を取り込んだファユルと、UDPSのチセケディという2人の野党政治家が対峙するという、選挙の構図がはっきりした。
一方、26日付ファイナンシャルタイムズ紙は、投票用機械を利用した選挙に懸念を表する記事を掲載した。投票用機械の利用は先進国でも例がなく、アフリカではナミビアに先例があるのみだという。ナミビアでは2014年の選挙で利用されたが、地方選挙や補欠選挙で試行された後のことであり、2080台の機械を89万人が使ったという。コンゴの場合、これまで投票用機械を使った選挙の経験は一切なく、今回は10万5千台の機械を2万か所の投票所に導入して利用するという。投票用機械は、選挙管理委員会が韓国のMiru Systems社から導入したもので、導入に際して入札等は行われなかった。Miru Systems社は投票用機械を利用した選挙の専門業者のようだが、コンゴの一件に際してはコメントを拒否している。
今回の選挙に関して、コンゴは外国から一切の援助を拒否しており、それもあって諸外国や在コンゴ国連平和ミッション(MONUSCO)はあまり口を出していない。いかにも危うい選挙に見えるし、この選挙がどの程度の意味を持つのかという疑念を禁じ得ない。これまでコンゴの政権交代は、クーデタや内戦、暗殺によるものしか前例がない。それを考えるなら、どんな選挙でもまだましだという話になるのだろうか。
今日のアフリカ
コンゴ民主共和国で選挙戦開始
2018/11/26/Mon