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今日のアフリカ

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軍事産業の拠点としてのモロッコ

2026/03/23/Mon

 軍事産業の生産拠点としてモロッコが注目を集めている。2025年、カサブランカ近くの町ベンスリマン(Benslimane)に、2つのドローン製造工場が建設された。トルコのバイカル社の現地子会社Atlas Defense社と、イスラエルのBluebird Aero Systems社の投資である。

 インドも軍事産業をモロッコに投資する意欲を見せている。2月末には、インド大使がインドの軍事産業MKUグループがモロッコに投資すると発表した。オプトエレクトロニクスシステムなどを製造する見込みである。

 フランス政府も投資促進に熱心で、1月末には防衛産業の使節団が首都ラバトを訪問した。装甲車の現地生産に向けた議論が始まったと伝えられている。米国のロッキード・マーチン社も、輸送機C-130や戦闘機F-16のメンテナンスセンターをモロッコに開設した。

 2025年11月、ルディ国防担当相はモロッコ議会で、2021年以降防衛産業に対して少なくとも10のプロジェクトに2.6億ドルの投資がなされたと説明している。投資呼び込みのため、モロッコは武器の輸入、輸出、取引、移送をカバーする法律を制定し、法整備を行った。自動車や航空産業の基盤があり、民生技術を利用できる産業上のエコシステムが存在することもモロッコの強みだとされる(3月20日付ルモンド)。

 ストックホルム国際平和研究所(Sipri)によれば、モロッコは2021ー25年の合計でアフリカ最大の武器輸入国である。米国、イスラエル、フランスなどから武器を輸入しており、軍事産業の誘致によって、技術移転や自らの製造能力強化に期待している。

 Sipriの報告書は、2021-25年の動きについて、ヨーロッパでは武器取引の大幅な増加があった一方、アフリカでは減少したと指摘している(3月20日付Jeune Afrique)。前者はウクライナ戦争の影響、後者は経済危機の影響と考えられる。そのなかでモロッコは武器輸入を増やしており、その重要な背景は隣国アルジェリアとの緊張関係の高まりである。アルジェリアもまた、ロシアなどから大量の武器を購入している。マグレブ二ヵ国の緊張がグローバルな武器市場と結びつく形で高まっていることは、大いに懸念される。(武内進一)

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