3月11日、セネガル議会は反同性愛法を採択した。この法律では、同性愛行為に禁錮5~10年を科すなど厳罰化した。セネガルでは最近、同性愛の抑圧が進められている。その背景について、12日付ルモンドの記事が若干の解説を提供している。
ウスマヌ・ソンコ首相は、反同性愛を主張するNGOのJamraや宗教団体のAnd Samm Jikko Yiから強い圧力を受け、法案提出に至った。ソンコは政権に就く前、マッキー・サル政権に対する批判のひとつとして、同性愛の容認を挙げていた。大衆の多くが同性愛はヨーロッパから持ち込まれてものだと考えるなか、フランスからの自立や「主権」を強調するソンコの主張は、反同性愛を主張するグループとの相性がよかった。政権に就く前の2022年、ソンコはこうした保守派に対して、「同性愛を犯罪とする法律は、優先事項のひとつだ」と約束している。
ただし、彼が実際に同性愛対策を重要な優先政策と考えたかどうかはわからない。彼自身2024年には、同性愛は受け入れられないが許されるべきだ、と発言している。
セネガルは現在、マッキー・サル政権期の隠し債務が発見されるなど、経済危機状況にある。2024年に政権を獲得したソンコや与党のPastefにすれば、多くの公約が進まないなかで、同性愛取り締まり強化はコストがかからず、強調してきた「主権」や「反欧米」のレトリックを用いて、与党への支持を高めうる(12日付ルモンド)。
近年アフリカでは、ケニア、ガーナ、ウガンダ、ブルキナファソなど、多くの国で反同性愛の動きが観察される。この動きの背景には欧米の宗教右派によるキャンペーンの影響もあるが(2025年5月16日付および11月20日付ルモンド)、それだけでなく「反欧米」、「反植民地主義」という動因が作用していることは重要である。
アフリカ諸国における反同性愛法は、その起源を辿ると、植民地期にヨーロッパ宗主国が制定したものだと言われる。近年のLGBTQ+権利強化運動の一環がアフリカ諸国にも及び、権利強化に向けた先進国からの働きかけが強まったとき、そうした介入への反発が「反植民地主義」思想と一体になって噴出し、規制強化、厳罰化の動きになっていると考えられる。(武内進一)
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