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今日のアフリカ

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ココ・ネットワークス社の破綻

2026/03/12/Thu

 ケニアの代表的なスタートアップ企業ココ・ネットワークス社が破綻した。2014年に設立されたココ社は、気候変動対策として導入されたカーボンクレジットを利用して注目され、マイクロソフト社やグローバル商社のVitolなどから出資を得た。また、世界銀行系列のMIGA(Multilateral Investment Guarantee Agency)の投資保証も獲得した。

 ココ社は、調理用レンジとバイオエタノール燃料を販売し、人々が木炭や薪を使わずに調理することで温室効果ガス削減に貢献すると謳っていた。国内に3,000カ所のバイオエタノールの販売所を持ち、130万以上の顧客を抱えていた(2月19日付JETROビジネス短信)。

 ココ社は、調理用レンジを85%割引で販売し、燃料もコストの半分以下で販売していた。安価な設定で顧客数を増やし、値引き分を埋め合わせるためにカーボンクレジットを利用しようとしたのだが、ケニア政府はその発行を認めず、破綻につながった。ココ社だけでケニア政府の発行分を使い切ってしまうため、発行できないというのが、政府側の言い分である。

 ケニア政府が承認しなかった理由については政権内の対立を指摘する声もあるが、ココ社のビジネスモデルに問題があったとファイナンシャルタイムズ紙は指摘している(3月10日付)。論点の一つは、ココ社の調理用コンロを利用することで、どの程度温室効果ガスが削減されるのか、という問題である。

 ココ社は、顧客世帯のほとんどが炭や薪から調理コンロに変えたとの想定で温室効果ガス削減量を推計し、カーボンクレジット要求の根拠としていた。しかし、2019年の家計調査では、ケニアの都市部で炭や薪を使って調理する世帯は、既に半分以下になっている。ココ社の顧客の多くは、他社が提供する調理用燃料からココ社の燃料に変えたのであって、炭や薪からではないという指摘がある。また、顧客はココ社の調理用レンジを購入しても、バイオエタノールの価格が上がれば使用を止める、とも言われる。世帯あたりの二酸化炭素削減量は、ココ社の主張の3分の1程度だったとみられる。こうした指摘に反証するデータを、ココ社は公開していない。

 カーボンクレジットはビジネスを通じた気候変動対策として注目を浴びているが、話はそれほど簡単ではない。ココ社の事例から言えるのは、透明性の高い正確なデータに基づいてビジネスがなされる必要があるという基本的な真理である。(武内進一) 

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