南アフリカやナミビアの比較的温暖な海岸沿いに生息しているアフリカペンギンが、飢餓が原因で減少している。アフリカペンギンは、南極に生息する近縁種とは異なり、小型で暑さに強いことで知られる。
2月3日付のCCNがアフリカペンギンが近年、飢餓に瀕している状況についてまとめているため、補足を加えながら紹介しよう。過去30年間で、アフリカペンギンの個体数は、汚染、生息地の破壊、そして食糧不足によって推定80%減少した。最近の研究では、飢餓が主な死因として挙げられている。南アフリカ森林・水産・環境省と英国エクセター大学の共同研究によると、2004年から2011年の間に、南アフリカで最も重要な繁殖地であるロベン島とダッセン島で、6万羽以上のペンギンが栄養失調で死亡したことが明らかになった(Crawford et al 2025)。論文によると、集団繁殖地のペンギンはおそらく換羽期に餓死したとされ、気候危機と食糧となるイワシ科魚類(Sardinops sagax)の乱獲が個体数の減少の原因としている。
アフリカペンギンは、断熱性と防水性を保つため、毎年、古くなった羽毛を脱ぎ捨て、新しい羽に生え変わる。しかし、約21日間の換羽期間中は、陸上に留まらなければならない。この絶食期間を乗り切るためには、事前に太っておく必要がある。「換羽前、あるいは換羽直後に餌が見つからないと、絶食期間を乗り切るのに十分な栄養が蓄えられなくなります」とエクセター大学生態学・保全センターのリチャード・シャーリー氏は12月5日付のガーディアン紙で述べている。大量の死骸は見つかっておらず、おそらく海で死んでいくのだろうと推測している。研究によると、2004年以降、南アフリカ西部沖におけるイワシ科魚類の生物量は、3年を除いて毎年、最大個体数の25%にまで減少した。アフリカペンギンにとって、このイワシ科魚類は重要な食糧である。アフリカ西海岸沖の気温と塩分濃度の変動により、産卵は不調に陥っているが、この地域での漁獲量は依然として高い水準にとどまっている。
2024年に、アフリカペンギンは国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種(CR)に分類され、現在、野生に生息する繁殖つがいは1万組以下と考えられている。自然保護活動家らは、雛鳥を保護するための人工巣をつくり、捕食動物の管理、救助が必要な成鳥や雛鳥の人工飼育などをおこなっている。その一つ、アフリカペンギンの保護活動で知られる南部アフリカ沿岸鳥類保護財団(SANCCOB)は、救助活動、リハビリ活動、そして研究を通して、個体群の回復に注力している。SANCCOBはリハビリ施設において、ケガ、油汚染、病気、その他の症状に苦しむペンギンなどの海鳥に対し、24時間体制の医療ケアとサポートを提供している。SANCCOBは昨年948羽のペンギンを保護したが、到着時の状態はおおむね「よくても、痩せ細っている」状態だった。最近保護されたある成鳥のペンギンは、体重がわずか1.9kgで、適正体重の約4kgの半分にも満たない状態だったとCCNに報告している。
しかし、飢餓はアフリカペンギンが直面する多くの相互に関連した脅威の一つに過ぎない。SANCCOBの臨床獣医師デビッド・ロバーツ氏によると、自身の外科手術のほとんどは外傷によるもので、大気汚染からプラスチックの絡まりまであらゆる原因が考えられるが、多くの場合、外傷はアザラシやサメなどの捕食動物に噛まれたことが原因であるとCCNに述べている。魚が不足すると、栄養失調のペンギンは衰弱し、捕食動物から逃れる能力が低下するため、捕食による負傷や死亡が増加するのである。
2025年3月には、自然保護活動家と商業漁業業界は、南アフリカの6つの主要な集団繁殖地を10年間保護する禁漁区を設定することに合意した。これらの海洋保護区は、漁業から鉱業まで、あらゆる採取活動を禁止し、ペンギンにとってより安全な餌場と繁殖環境を提供するものである。「データによると、ロベン島周辺の禁漁区は、2033年までにロベン島だけでペンギンの個体数の減少に歯止めをかけるはずです。もちろん、他にも様々な要因が影響していますが」とSANCCOBのフレイザー=ノウルズ氏はCCNに述べている。「アフリカペンギンは指標種であり、その減少は私たちの生態系が深刻な危機に瀕していることを示しています。もし彼らに食料安全保障がなければ、トリクルダウン効果が始まり、最終的には人間にまで影響が及ぶでしょう」と彼女は付け加えている。
気候危機や絶滅危惧種の問題は言われて久しいが、相互に連関し合う生態系の中で私たち人間が生きていることを真摯に受け止めない限り、アフリカペンギンの飢餓のニュースも遠い世界の出来事として消費されるだけで終わってしまうだろう。(宮本佳和)
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