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今日のアフリカ

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ボツワナで流行する口蹄疫に対する懸念と影響

2026/02/24/Tue

 2月1日、ボツワナ北東部で口蹄疫(FMD)の発生が確認された。感染拡大を防ぐために、検疫措置と家畜の移動制限を直ちに実施しているが、国境を介す隣国ナミビアや南アフリカでは共通の放牧地帯を介した国境を越えた感染拡大への懸念が高まっている(2日付APA)。

 口蹄疫は、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタなどの蹄が偶数に割れている偶蹄類動物に感染する、感染力の強いウイルス性疾患である。人体への影響はないが、輸出禁止や農家の収入減少など、畜産業に壊滅的な影響を与える可能性がある。

 ボツワナ北東部は同国において家畜の大部分が暮らす地域であり、近年口蹄疫の発生が定期的に報告されるジンバブエのマタベレランド地域と国境を接している。ボツワナでは、第一発生確認ののち、感染地域では積極的なワクチン接種と監視活動を開始し、国内全域では指定地域外への偶蹄類動物の輸送、屠殺、移動の禁止を含む移動制限が実施されている。

 南アフリカでは、農務省が口蹄疫対策を強化しており、アルゼンチン、トルコ、ボツワナからのワクチンを用いた大規模なワクチン接種を実施している。ナミビアにおいても、発生時に迅速に対応できるよう、獣医局が包括的な緊急時対応計画を策定し、ナミビア国防軍、警察、民間生産者などの関係者が、連携した対応チームをつくっている(7日付インフォーマンテ)。

 21日付アフリカン・ファーミングによると、口蹄疫の発生とそれに伴う制限措置以前、ボツワナの偶蹄類動物由来の製品の輸出額は年間約7,300万米ドルと報告されている。これからどれほどの経済的影響が生じるかは注視していく必要があるが、偶蹄類動物由来の製品を輸出するボツワナの主要市場の一部は、ボツワナが口蹄疫の発生を公式に抑制するまで、ボツワナからの偶蹄類動物由来の製品の輸入を予防的に停止している状況である。

 英国環境・食糧・農村地域省と動植物衛生庁は、ボツワナからの生牛肉の輸入を一時的に制限した。この制限は、2025年12月30日以降に加工された貨物に遡及的に適用される。同省庁は声明で、「ボツワナはヒツジ、ヤギ、ならびに家畜および野生で非家畜の反芻動物の鮮肉輸入国としてリストに掲載されているものの、これらの製品には承認された残留物管理プログラムが存在しないため、輸入対象とはならない」と述べている。欧州連合(EU)も、ボツワナからのこれらの製品の輸入を停止したままであると報じられている。

 影響は文化的側面にもおよんでいる。ボツワナに暮らす人たちの中でも、ウシやヤギなどを放牧させながら暮らす牧畜民の人たちは、葬式や結婚式などの際に、犠牲獣としてウシなどを屠る儀礼をおこなう。しかし、今回の流行によって、ボツワナ全土で偶蹄類動物の家庭内屠殺が禁止されている影響を受け、儀礼において代替として偶蹄類ではないロバを犠牲獣として屠っていることが報道されている(17日付ナミビア・ヘレロ語ラジオ放送)。

 家畜の感染症の流行においては、貿易との関係から経済的な側面に焦点が当たりやすいが、大きな報道にはなりにくい、こうした文化的側面への影響も見逃してはいけないだろう。(宮本佳和)

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