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今日のアフリカ

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ワシントン和平合意以降の東部コンゴ

2026/02/08/Sun

 昨年12月4日、コンゴ民主共和国のチセケディ、ルワンダのカガメ両大統領は、トランプ大統領立ち会いの下、ワシントンで和平合意に署名した。この和平協定の眼目は、東部コンゴへの米国企業による投資と平和とのディールである。

 署名から2ヶ月が過ぎたが、現地の状況に好転は見られない。署名のわずか1週間後には、ブルンジ国境の町ウヴィラがM23に制圧され、大量の難民がブルンジに流出した。メンツを潰された格好の米国はルワンダを非難し、それに対応する形で、M23は12月15日にウヴィラからの一方的な撤退を宣言した。

 米国企業のコンゴ鉱業への投資については、動きが見られる。2月3日、米国政府が支援する鉱業投資ファンドOrion Critical Mineral Consortiumは、資源大手Glencore社が カタンガ州で展開する銅、コバルト生産事業に数十億ドル規模の出資すると発表した。ワシントンにはコンゴ政府高官が複数招かれ、鉱物資源に関する関係閣僚会議が開催された(2月4日付ルモンド)。同じくカタンガ州で銅、コバルト生産に関わるChemaf社(ドバイが拠点だが、コンゴ政府も株式を保有)についても、米国政府は自国のVirtus Resources社が率いるコンソーシアムへの売却をコンゴ政府に働きかけている(1月31日付ルモンド)。

 そうしたなか、1月31日から翌日にかけて、コンゴ北東部に位置するキサンガニの空港にドローンが飛来し、自爆攻撃を仕掛けた。M23が犯行声明を出し、コンゴ政府によるドローン攻撃への反攻だと主張した。

 キサンガニはコンゴ政府軍(FARDC)の第三軍管区の司令部が置かれ、ドローン(中国製CH4、トルコ製TAI アンカ)の基地となっているほか、東部戦線の部隊にロジスティックスを提供している。M23の制圧地である北キヴから遠く離れたキサンガニまで攻撃がなされたのは、これまでにないことである(2月5日付ルモンド)。

 一方、ルワンダの政府系紙New Timesは、2月6日付記事で、コンゴ東部でバニャムレンゲ人コミュニティがコンゴ政府に対する抗議活動を行ったと報じている。バニャムレンゲはルワンダ系コンゴ人で、M23やルワンダ現政権との繋がりが深い。報道によれば、この示威行動は米国政府に向けられたもので、人道に反する罪を行うコンゴ政府に対して投資などの資金提供を止めるべきだと訴えている。「バニャムレンゲはコンゴ東部の少数派キリスト教徒であり、コンゴ政府による暴力や迫害に苦しんできた。迫害はM23がウヴィラを制圧している間だけ止んだが、撤退後はまた再開された。コンゴ政府に圧力をかけてほしい」という要請である。

 この抗議活動とNew Times紙の報道に、ルワンダ政府の意図を見ることはたやすい。ただし、この地域のバニャムレンゲの人びとが暴力の対象になってきたことも間違いない。トランプが仲介したディールによって、ローカルな紛争は、コンゴ・ルワンダ両国政府というナショナルなレベルを超えて、米国企業や米国政府というグローバルなレベルと結びつくことになった。(武内進一)

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