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今日のアフリカ

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ナミビアのジェンダーに基づく暴力への抗議運動

2025/05/31/Sat

 ナミビアでは今年に入り3名の少女が続けて殺害された事件を受けて、ジェンダーに基づく暴力(GBV)への抗議運動が活発におこなわれている。

 オチョゾンデュパ州の都市オカハンジャでは、今年3月末から4月末にかけて立て続けに少女3名が行方不明になり殺害された。3月20日には5歳の少女の遺体が橋の下で発見され、4月25日には通う学校の近くで6歳の少女の遺体が発見された。翌日26日には15歳の少女の遺体が郊外の地区で発見された。いずれの少女もレイプされていた。犯人は見つかっておらず、警察は逮捕につながる情報提供者には、12万ナミビア・ドルの報奨金を支払うことを発表している。

 この事件を受け、4月末には女性と子どもの安全を求め、GBVへの抗議活動が各地でおこなわれた。少女らの遺体が見つかったオカハンジャでは、住民だけでなく、教育省の副大臣ディノ・バロティ氏、南西アフリカ人民機構(SWAPO)のフェニー・トゥチャヴィ氏、土地なし人民運動(LPM)のウタアラ・モオトゥ氏も参加した。政府関係者らは抗議活動参加者と連帯し、少女たちを守るための緊急の行動を求めた。バロティ氏は、省を代表して嘆願書を受け取った。同市の高校でも、生徒たちが児童保護法の強化を求め街頭で抗議をおこなった。西部カバンゴ州でも、教育省の呼びかけを受け、西部カバンゴ州議会と共同で学生らが児童暴力に反対する大規模なデモ行進をおこなった。

 5月11日には、大統領のネトゥンボ・ナンディ=ンダイトゥア氏が、オハングウェナ州で開催された文化祭での演説において、伝統的指導者らに女性と子どもへの暴力とたたかうために政府と協力するように呼びかけている。

 5月23日には、若者らが直面するさまざまな課題について話し合い、対処するための活動団体「#BeeFree」運動が、首都ウィントフックでGBVを減らすためのキャンペーンをおこなった。

 ナミビアの国連事務所も声明を出しており、その中で、少女に対する暴力は容認できず、法の力で対処しなければならないと述べている。

 ナミビア警察の統計によると、2024年1月1日から6月30日の間に、666件のレイプ事件が報告された。オシコト州で最も多く、次いでオムサティ州が続いた。オチョゾンデュパ州では、事件のあった同時期に50件が報告されている。

 一方、少女らの殺害の理由について、犯人らが呪医に少女らの身体の一部を売るために殺害したのではないかとささやかれているが、真相は明らかではない。(宮本佳和)

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