3月10~11日、ブルキナファソ西部のソレンゾ(Solenzo)で多数の市民が虐殺され、その映像がSNSに流れた。犠牲者の多くはプール人(フルベ人)で、「祖国防衛ボランティア」(VDP)の攻撃を受けた(28日付ルモンド)。
ブルキナファソで、プール人はイスラム急進主義勢力(ジハディスト)と結びつけられてきた。この国でイスラム急進主義勢力の活動が広がるのは2015年頃からである。2014年にコンパオレ政権が市民革命で倒れ、その後に就任したカボレ(Roch Marc Christian Kabore)大統領は、ジハディストに対抗するために、モシ人の自衛組織Koglweogoやドゴン人のDozoなどを支援した。
カボレ大統領は2020年にVDPを法制化するが、VDPにはモシ人やドゴン人の自衛組織が加わった。VDPや軍には、ジハディストはプール人だとの見方が根強い。2022年9月のクーデタで政権を握ったイブラヒム・トラオレは、ジハディスト対策として「迅速介入部隊」(BIR)を設置した。BIRはVDPとともに、しばしばジハディストと関係があると見なされた市民を襲撃している。その多くがプール人である(21日付ルモンド)。
プール人に対する偏見は、広く浸透している。軍トップのトラオレは、2023年2月20日、プール人コミュニティと大統領官邸で面会し、「武器を置かないと、皆ぶっ殺す」、と脅しつけたという(28日付ルモンド)。人権団体からは、エスニシティを理由とした攻撃が行われているとして、ジェノサイドを危惧する声もでている。
エスニシティに基づく偏見が紛争を通じて強化されるのは、ルワンダをはじめ、幾度となく観察されてきたことである。サヘル地域では、同じメカニズムを通じて、プール人やトゥアレグ人という牧畜民に対する偏見や攻撃が強まっている。(武内進一)
クラウドファンディングへのご協力ありがとうございました。引き続き、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。