12月2日、ブリュッセル控訴審は、独立前のコンゴ民主共和国出身の混血児を両親から引き離した行為が「人道に反する罪を構成する」として、ベルギー国に対して、5人の原告に5万ユーロずつ支払うよう命じた。初審の判決を覆す内容であった。原告側のイルシュ(Michèle Hirsch)弁護士は、「植民地の犯罪が人道に反する罪とされた初めての判例」だと評価した。
この裁判では、コンゴ人の母とベルギー人の父との間に生まれた女性5人が、ベルギー国家を訴えていた。判決は、ベルギー国が「その出自だけのために」混血児を標的としたと述べる。子供たちは3歳~7歳で家族から離され、宗教施設に預けられ、しばしば名前や誕生日も変えられた。15,000~20,000人が同様の仕打ちにあったと見られる(2日付ファイナンシャルタイムズ)。
イルシュ弁護士によれば、当時の政治指導者や宗教指導者は、混血児を「恥辱であり、罪深い子供」だと見なしていた。混血児は、白人至上主義を掘り崩し、黒人の反乱を指導する可能性があるという意味で、二重の危険性を孕むと見なされた。
一審では、こうした行為が行われた当時に「人道に反する罪」の概念がなかったことを理由に同概念の適用を認めなかったが、控訴審はこれを覆した(2日付ルモンド)。
過去の非人道的行為を今日的観点から評価し、謝罪のみならず賠償や補償を与えるという流れは、今後も続いていくだろう。(武内進一)
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