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今日のアフリカ

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「アフリカの角」地域の緊張

2024/09/20/Fri

 2024年1月1日のエチオピアとソマリランドとの協定締結以来、「アフリカの角」地域の緊張が高まっている。同協定の内容は、1)エチオピアがソマリランド沿岸部20kmを50年にわたって利用し、商業港と軍港を建設する、2)その代わりに、今後エチオピアはソマリランドを承認する用意がある、という内容だった。

 この協定はソマリアを強く刺激し、スーダン内戦やイエメン・フーシ派の攻撃で不安定化するアフリカの角に新たな不安定要因が加わった。9月13日付ルモンド紙が詳細を報じている。

 ソマリアは、トルコ、エジプトとの軍事協力協定締結へと舵を切った。8月に協定を結んだエジプトは、ソマリアに武器を供与するとともに、アル・シャバブ対策と称して、ソマリアに展開するAU平和維持部隊への同国軍の参加を決めた(9月2日付ルモンド)。

 この動きを、エチオピアは同国への挑発と捉えて反発した。9月6日、エチオピアの国連代表は、「エジプトは攻撃的な態度を止めるべきだ」と発言している。エチオピアが青ナイル上流に建設したルネッサンス・ダムのため、両国関係は10年以上悪化したままである。

 トルコのエルドアン政権は、2011年以来、ソマリアとの関係を積極的に深化させてきた。企業が多数進出した他、安全保障協定を結び、ソマリア沿岸部での船舶の活動を活発化させている。ソマリランドは、この7月、領域内に船舶が入ったとしてトルコを非難した(8月2日付ルモンド)。

 エチオピアとエリトリアの関係も、不安定な状況が続いている。9月3日、エチオピア航空はエリトリア便を停止したが、これも両国関係の悪化を反映しているとみられる(9月13日付ルモンド)。

 ソマリアの内戦からの復興が進み、紅海からアデン湾にかけての戦略的重要性が高まることで、エジプト、トルコ、湾岸諸国といった周辺地域からの関与が強まっている。結果的に、不安定な状況が継続する可能性が高い。(武内進一)

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