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今日のアフリカ

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南アフリカ新政権を市場は歓迎

2024/06/22/Sat

 14日、南アフリカ議会において、現職のラマポサが二期目の大統領に選出された。5月29日の選挙結果を受けて、惨敗したANC(アフリカ民族会議)がDA(民主同盟)およびIFP(インカタ自由党)と連立し、「挙国一致内閣」を成立させた結果である。
 新政権を市場は歓迎し、ジョハネスバーグ株式市場では連日株価が上昇した。市場指向の経済政策を主張するDAが内閣に入ったことを投資家が好感した。JPモルガンのアナリストは、「南ア政治にとって最良のシナリオ」だと評価している(20日付ファイナンシャルタイムズ)。
 一方で、選挙で第3位、第4位の議席を得たMK(民族の槍)とEFF(経済的自由戦士)は敵対的な姿勢を強めている。ウィットウォータースランド大の研究者Niall Reddy氏は、「短期的には、ラマポサの改革を進めることになろう。しかし、結局はANCの党内権力闘争にかかっており、先は読めない」とコメントしている(19日付ルモンド)。
 ANCには、「白人政党」と見なされるDAとの協働に不満を持つ者も少なくないとされる。MKやEFFが、その点を突いてANCを攻撃することは必至だ。過去10年以上停滞を続けている経済の回復や貧困層の生計向上が、新政権にとって死活的な課題となるであろう。
(武内進一)