29日に行われた南アフリカ議会選挙の開票が進み、与党「アフリカ民族会議」(ANC)が予想を上回る敗北を喫する見込みだと報じられている。
1日付けファイナンシャルタイムズ(FT)紙によれば、開票率9割の段階で、ANCの得票率は41%に留まっている。2019年の選挙では57.5%であったから、大幅な議席減少となる。野党の「民主同盟」(DA)が21.7%で第2位となっているが、注目すべきは、わずか半年前にズマ元大統領が立ち上げた。「民族の槍」(MK)が13.7%もの票を獲得したことである。ラジカルな主張の「経済的自由戦士」(EFF)も9.5%を獲得した。
ANCの得票率から考えて、DA、MK、EFFの何れかの政党との連立は不可避である。DAは市場中心の経済政策を主張する白人中心の政党で、MKとEFFは経済的不平等是正のためにラジカルな介入を主張する。
ANCがどの政党と連立を組むかは、ラマポサの帰趨とも関係する。FTは、選挙後もラマポサが続投するならDAとの連立に動くだろうが、彼が敗北の責任をとって辞任すればMK、EFFとの連立が現実味を帯びるという見立てを報じている。後者になった場合、南ア経済の先行きがいっそう懸念される事態が予想される。
(武内進一)