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今日のアフリカ

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CFAフラン改革構想への英語圏諸国の反応

2020/01/24/Fri

1月17日付ルモンド紙の報道によれば、16日、西アフリカ通貨圏(WAMZ: West Africa Monetary Zone)6か国(ナイジェリア、ガーナ、リベリア、シエラレオネ、ガンビア、ギニア)は、仏語圏諸国が示したCFAフラン改革案に懸念を表明した。WAMZとして、この改革案はECOWASが30年前に構想し、2018年から具体的議論を進めてきた共通通貨Ecoのアイデアと合致しない、と批判している。12月、マクロン仏大統領のアビジャン訪問の際に発表されたCFAフラン改革構想の後、ガーナはそれに加わる姿勢を示しつつも、ユーロとの固定レートについては否定的な考えを表明した。一方、ナイジェリアは共通通貨構想そのものに消極的な姿勢をとってきた。
 同国のZainab Shamsuna Ahmed 財務相は、西アフリカ諸国は通貨統合の段階に達していないと繰り返している。その理由は、通貨統合に必要な財政金融政策の統一性が取れていないからだ。通貨統合に必要なクライテリアとして、財政赤字がGDPの3%以内、インフレ率10%未満、国内債務がGDPの70%未満というものがあるが、西アフリカでこの水準を満たしているのはトーゴだけだ。ラゴスの経済アナリスト、アフィクヨミ(Tokunbo Afikuyomi)氏によれば、CFAフラン改革の背景には政治的思惑があるという。コートジボワールのような国は、通貨統合構想にナイジェリアが乗ってこないことを見越して、西アフリカの主導権を握りたいという考えを持っていると、アフィクヨミ氏は指摘する。彼はまた、ナイジェリアにとって、共通通貨構想に加わることは潜在的なリスクだとも言う。2億人の市場が市場統合によって新たに得る利益は少ないし、小国の財政が破たんした場合には、ギリシャに対してドイツやフランスがやったように、ナイジェリアが助けなければならないからである。
 ナイジェリア自身の財政規律がいかほどか、と突っ込みを入れたくもなるが、アフィクヨミ氏の指摘には一理ある。この地域で圧倒的な経済力を有するナイジェリアとしては、早急な通貨統合には何のメリットもない。加えて、ナイジェリアは、12月のCFAフラン改革案発表の仕方に不快感を覚えたということだろう。ECOWASとして議論してきた「エコ」の名を標榜しつつ、ユーロとのペグを維持することで西アフリカ共通通貨構想を仏語圏諸国主導のものとする、そしてその背後にはフランスの影がちらつく。こうした思惑が見え隠れするCFAフラン改革構想にナイジェリアが反発するのは当然のことに思える。今後しばらくは、西アフリカ共通通貨構想をめぐって、コートジボワールとナイジェリアを中心に様々な思惑が飛び交うことだろう。