今年9月に更新時期を迎えるAGOA(アフリカ成長機会法)については、トランプ政権の下で、そのまま延長されることはないだろうという見方が一般的である。21日付ルモンド紙は、米国国務省の担当官フィトレル(Troy Fitrell)の発言を紹介している。そこからトランプ政権の考え方がうかがえる。
フィトレルは次のように述べている。
「もしAGOAが更新されるなら、それは近代世界の取引を反映したものになる」「もっと相互性が明確に反映されたものになる」「私がAGOAの更新のために何をするか尋ねる人がいたら、私はこう尋ねる。あなたは何をしたか?」
フィトレルはまた、「多くのアフリカ諸国が米国との自由貿易協定の可能性を打診している。これはワシントンにとっても好ましいことだ」と述べている。
以上から見えてくるのは、米国が一方的に関税を免除することはせず、米国が関税を免除するなら、アフリカ側も関税を免除すべきだという考え方だ。USAIDの解体が示すように、トランプ政権は、米国が他国に奉仕するような関係性を拒否し、必ず目に見える見返りを要求する。
この行動には、そうする余裕がないという経済的理由だけでなく、相手が誰であれ一方的な優遇措置は与えないという思想的な理由も大きいと思われる。AGOAだけでなく、開発援助そのものを否定する論理である。私たちの前に、どのような世界が広がっているのだろうか?(武内進一)
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