OECDは9日、2025年の援助動向について発表し、DAC加盟国の援助総額が2024年に比べて23.1%減少したと発表した。ODA供与額の減少は二年連続で、下げ幅は過去最大であった。特に米国のODAは前年度比で56.9%減少し、その供与額はドイツを下回って世界第2位に後退した。二国間ドナーの供与額は、ドイツ、米国、英国、日本、フランスの順となった。
二国間援助は前年度比26.4%、多国間援助は同12.7%の減少となった。二国間援助のなかでは借款より無償の切り下げ幅が大きく、前者がマイナス10.3%だったのに対して、後者はマイナス29.1%であった。多国間援助へのインパクトは機関によって異なる。国連への援助が27%と著しく削減されたのに対して、世界銀行など多国籍銀行への拠出は増加した。
開発プログラム、開発プロジェクト、技術支援向けODAは26.3%、人道支援向けODAは35.8%の減少で、国際協力の中核事業が大幅に削減された。
地域で見ると、ウクライナ向け二国間ODAは、米国支援の大幅カットの影響を受けて38.2%減少し、103億ドルとなった。ただし、ウクライナに対してはEU諸機関から巨額の支援がなされ、総額では449億ドルが供与された。2024年に比べて、18.7%の増加となる。これは単一の受益国に対する史上最大のODA供与額で、DAC加盟国による後発開発途上国向けODA総額(281億ドル)、対サブサハラアフリカ向けODA総額(292億ドル)を上回る。後発開発途上国(LDCs)向けとサブサハラアフリカ向けODAは、それぞれは25.8%、26.3%の減少で、貧困国向け援助が顕著に削減された。
ODA供与額は、2019年から2023年の間、新型コロナウイルス感染症対策の影響で32.7%増加した。その後、2024年に6.1%、2025年に23.1%と連続で大幅に切り下げられ、2019年を下回る水準となった。2026年もさらなる切り下げを見込んでいる国が多い。
ルモンド紙は、援助額の削減に加えて、援助のモダリティに関わる問題を指摘している。貧困国への連帯という観点が薄れ、ドナーの利益に応える必要性が強調されるようになった。典型的には米国で、稀少鉱物確保のために援助を利用している。米国はザンビアに対して、10億ドルのエイズ、結核、マラリアの治療薬購入の援助を与える見返りとして、鉱物資源へのアクセス改善を求めている(9日付ルモンド)。
ODA削減が憂うべき事態であることは確かである。これによって感染症対策が滞ることも懸念されている。一方、過去20年あまりを振り返ると、「テロとの戦い」、「コロナ対策」、「ウクライナ支援」など様々な理由でODA支出が増加を続けており、その検証も十分になされたとは言い難い。こうした形でODA予算を増やし続けることが、国内政治的に不可能になったという側面もあろう。ODAの理念や意義について再考するには良い機会かもしれない。(武内進一)
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