4月15日で、スーダン内戦勃発から2年が経過した。この日からロンドンで、内戦の早期和平を目指して、19ヵ国を招いて国際会議が開催された。会議には、ブルハーンの軍事政権側も、ヘメティのRSF側も招待されなかった。軍事政権側は、UAE、ケニア、チャドといったRSFへの支援が疑われる国々が招待されたことを批判した。
同じ15日、RSFは独自の政府樹立を宣言した。おおよそ首都ハルツーム以東を押さえた軍事政権側と、ダールフールを中心に西部から南部を押さえたRSF側が、それぞれ政府を樹立して対峙する状況になっている。
スーダン内戦は周辺国を巻き込んだ地域紛争の様相を呈しているが、チャドは特にその影響を受けている。内戦開始以来130万人の難民がスーダンから流入し(16日付ルモンド)、東部国境付近には数十万の難民を受け入れた町もある。
チャド内政には不穏な動きが見られる。13~14日にかけて、マハマト・デビィ大統領は、治安、国防関係の高官約10名を罷免した。また10日には、大統領のイトコで、大統領警護隊トップや軍参謀長を務めたマハマト・イトノ(Abdelrahim Bahar Mahamat Itno)将軍が罷免されている。
デビィ大統領をはじめチャドの権力中枢はザガワ(Zaghawa)人が占めているが、彼らの多くはスーダン内戦でRSFを支援するデビィ大統領に批判的である。RSFはダールフールのアラブ系住民が中心を占め、彼らは内戦のなかでザガワ人をはじめとする非アラブ系住民に激しい暴力を行使し続けている。イトノ将軍も最近、ザガワコミュニティの会合で、デビィ大統領を厳しく批判していた(15日付ルモンド)。
今回の軍高官解任劇は、チャドの権力中枢における緊張の高まりを示している。これまでもチャドは、ザガワ人内部の対立による政治不安を繰り返してきた。若い権力者のマハマト・デビィ大統領は、この危機にどう対応するだろうか。(武内進一)
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