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今日のアフリカ

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英国で「ルワンダの安全」法成立

2024/04/25/Thu

 22日の真夜中、英国議会で、不法移民をルワンダに送致する法律(「ルワンダの安全」法)が成立した。この法律について、23日付けのファイナンシャルタイムズ(FT)紙は社説で、英国の民主主義にとって有害な先例になると厳しく批判した。
 英国による不法移民(アサイラムシーカー)のルワンダ送致という考えは、2年前のジョンソン政権期以来追求されてきたものだ。当初は二国間の協定という形を取ろうとしたが、ヨーロッパ人権裁判所や英国最高裁が違法の判断を下すなか、国内法で規定する形に落ち着いた。
 同法では、「ルワンダは安全な国である」と規定され、それに対して法的に異議申し立てをすることが禁じられた。ルワンダはアサイラムシーカーにとって安全であり、裁判所を含めた誰もがルワンダをそのように扱わねばならない。ルワンダが安全でないという議論は禁止された。
 昨年11月、英国最高裁は、ルワンダがアサイラムシーカーを本国に送り返す可能性があり、安全な国とは言えないとの判断を示した。今回の法律には、裁判所によるそうした介入を阻止する意図がある。
 保守党が優越する議会が、司法の介入を封じ、ルワンダが安全だという「事実」を法によって定めたことになる。FT紙は、「この論理に従えば、議会は黒を白だと、あるいは犬をネコだと法律で決めることができる」と批判している。
 この4月、トーゴ議会は、直接選挙による大統領選出方法を廃し、議会が大統領を選出するやり方に改めた。政権与党が支配する議会を使って、フォール・ニャンシンベ現大統領の永続化を図る動きである。英国議会での保守党のやり方と大差ない。
(武内進一)