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今日のアフリカ

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SADC、ルワンダがモザンビークに部隊派遣

2021/07/17/Sat

 15日、モザンビーク国防省は、南部アフリカ諸国の地域機構「南部アフリカ開発共同体」(SADC)に対して、イスラム急進主義勢力対策としての軍事支援を公式に要請した。北部カボ・デルガド州で続いているイスラム急進主義勢力(アル・シャバブ)の活動鎮圧に向けて、正式に地域機構の介入に依頼したことになる。
 既に6月23日、SADCはモザンビークへの部隊派遣で合意しており(6月24日付ルモンド)、今回の要請は既定路線と言える。ニュシ大統領はこれまで外国軍の介入に消極的だったが、ここにきて態度を変えたと報じられている(7月16日付ルモンド)。
 目を引くのがルワンダの動きである。ルワンダはSADCの加盟国ではないが、先週、カボ・デルガド州に1000人の軍・警察を派遣することを発表した(7月9日付New Times)。この派遣は、モザンビークとの間に結ばれた二国間協定を根拠とするものである。ルワンダは、長く政情不安に苦しむ中央アフリカ共和国に対しても、PKO部隊に加えて、二国間協定に基づく部隊派遣を行っている。
 アフリカ諸国の治安維持に地域機構が深く関与することは、これまでもしばしば見られた。SADCだけでなく、西アフリカ経済共同体(ECOWAS)の活動はよく知られている。一方、ルワンダのように、特定国が単独で、国境すら接していない国々に治安部隊を派遣する動きは異例である。紛争経験国として治安の安定に寄与するというのがルワンダの公式見解だが、その行動がどのような影響を与えるのか、注意深い観察が必要である。