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今日のアフリカ

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南部アフリカ開発共同体(SADC)がコンゴ東部に派兵

2023/05/15/Mon

 5月8日、ナミビアの首都ウィントフックで開催されたSADC(南部アフリカ開発共同体)のサミットで、コンゴ民主共和国東部へのSADC待機軍派遣が決定された。この会議は、ナミビアのガインゴブ大統領が主催し、南アのラマポサ、コンゴのチセケディ、タンザニアのハッサン各大統領が出席。アンゴラ、マラウイ、ザンビアが閣僚を派遣した。待機軍の派遣時期や派遣規模については言及されなかった。
 翌9日、チセケディ大統領は、2022年11月に東部に導入した東アフリカ共同体地域軍(EACRF)に関して、6月までにM23との戦闘で成果がなければコンゴから撤収させると述べた。コンゴ東部では、従来から国連平和維持活動(MONUSCO)に対する不満が表明され、抗議活動が行われてきたが、EACRFに対しても同様の動きが起こっている。4月27日には、司令官のMaj. Gen. Jeff Nyagah(ケニア人)が脅迫と活動への妨害を理由に辞任した(4月28日付ルモンド)。その際に、EACRFの活動に対して、システマティックな妨害活動がなされているとの不満を表明している。
 ルワンダの政府系新聞New Times紙は、5月12日付記事で「コンゴには幾つ外国武装勢力がいるのか?」との見出しを掲げた。
 現在、東アフリカ共同体から、ウガンダ、ケニア、南スーダン、ブルンジがEACRFに兵力を提供している。2023年2月現在17,753人の兵力を有するMONUSCOには、パキスタン、バングラデシュ、ネパール、南ア、インドネシア、モロッコ、タンザニア、ウルグアイ、マラウイなどが兵員を、ブルキナファソ、トーゴ、カナダ、ギニア、マリなどが警察官を提供している。加えて、武力行使を前提として編制された介入旅団(FIB)に、タンザニア、マラウイ、南アが3000人の兵力を拠出している。
 さらに、New Times紙によれば、チセケディ政権は傭兵を利用している。ブルガリアのAgemira社から、ブルガリア人、ジョージア人、ベラルーシ人など約40人を派遣させ、ソ連製のスホイ戦闘機の操縦などに従事させているという。同記事は、傭兵の利用は、チセケディ政権に和平への意図がないことを示すものだと断じている。
 この記事の背景に、ルワンダとコンゴの悪化した関係があることは言うまでもない。とはいえ、とっかえひっかえ外国の軍隊を導入するチセケディ政権の姿勢にも、疑問を禁じ得ない。こうした形での外国部隊の導入が、和平に繋がる見込みは薄いと言わざるを得ない。
(武内進一)